日本人は禅、神道を世界にもっと発信すべき ── サティシュ・クマールが説く「美しいビジネス」
「自然に1%還元」ではまだまだ足りない
サティシュ:私は、企業の利益は4つに分配する必要があると考えます。 最初の25%の利益は自然を回復させることに使いましょう。水やエネルギーがなければ経済は回りません。 次の25%は従業員、働き手になってくれる人たちに支払いましょう。 3つ目の25%は社会が健康であるよう、社会に還元します。地域のために使っても、非営利団体に寄付しても良いですね。 そして最後の25%を、資本が回り続けるよう株主に対して戻すのです。 現実は、利益のほぼ100%が株主のために使われ、自然や従業員、社会への還元にはほんの僅かしか使われていません。 環境配慮型の企業であっても、1~2%しか自然のために使っていないのです。このような考え方を実践できて初めて持続可能な経済が実現します。 ──利益を4分割し、それぞれに分配するという考え方には共感しますが、株主をはじめあらゆるステークホルダーに理解してもらうにはどうしたら良いでしょうか。 サティシュ:エコノミーとエコロジーは切り離せない関係性だと理解することです。 今のビジネス界では、自然はお金を稼ぐため、利益を作るための資源。どれだけ搾取できるかといった対象として捉えられています。 その考えを変えることが第一歩です。自然は利益を抽出するための資源という考え方はまったく逆であり、ビジネスで利益を得る目的は、自然を回復するためであると認識することが大切です。 残念ながら、人間ですら利益を生み出すための道具と捉えられています。「HR」と言いますね。ヒューマンリソース、つまり人的資源です。初めの一歩はその考え方を180度変えることです。自然も人も資源ではなく、命そのものであると。 次のステップとして、自然と人間は切り離されていないと理解することです。 人間も自然の一部で、土、空気、火、水、すべて同じ要素からできています。森も同じ、動物も同じなのです。自然というのは遠くにある山や川に限ったものではなく、私たちも自然の一部なのだと。 この2つの考え方を変えることができれば、自ずとビジネスも変わるのではないでしょうか。