日本人は禅、神道を世界にもっと発信すべき ── サティシュ・クマールが説く「美しいビジネス」
気候変動、格差、紛争。行き過ぎた資本主義が引き起こした社会課題に対して、新たな経済のあり方が模索されている。しかし依然として理想と現実のギャップは大きいままだ。 【全画像をみる】日本人は禅、神道を世界にもっと発信すべき ―― サティシュ・クマールが説く「美しいビジネス」 60年以上前から世界に平和と持続可能な社会の実現を訴え続けてきたのが、インドの環境活動家、サティシュ・クマール氏。理想主義者と揶揄されながらもその活動は多くの経済人に影響を与えてきた。 メディアのビジョンに「Better Capitalism」を掲げるBusiness Insider Japanでは、6年ぶりの来日に合わせて独占インタビューを行った。私たちはどんな一歩を踏み出せばいいのだろうか。
「エコノミー」の本来の意味
── 世界的なSDGsの流れの中で、日本でも持続可能な経済のあり方や環境に配慮した企業活動など、社会全体の意識は向上しているように感じます。しかし、未だビジョンを掲げるに留まり、取り組みが進まない企業も多くあります。経営者をはじめとするビジネスパーソンは、山積の社会課題にどう立ち向かえば良いでしょうか。 サティシュ・クマール氏(以下、サティシュ):本来、「economy(エコノミー)」という言葉は美しい言葉です。けれども今、皆さんが考える「経済」は「moneynomy(マネノミー)」になっています。 もともと「eco」という言葉には「地球」という意味が、「logy」には「知識」という意味があり、地球のことをよく知っているというのが「ecology」です。 「economy」の「nomy」はマネジメントするという意味で、「economy」は私たちが住む地球を管理するという意味なのです。 自然界は私たちに膨大な食べ物・水・エネルギーを生み出してくれますが、ゴミや汚染、温暖化などは生み出しません。それが自然界の経済です。 一方、私たち人間が営む経済(産業経済)は、自然が生み出すものと比べてはるかに小さなインパクトしか生み出していないのに、たくさんのゴミと汚染と気候変動をつくり出しています。 ビジネスも循環型に変えなければなりません。自然から取り出すものは、必ず自然に戻さなくてはいけないのです。