NY在住半世紀 ジャズ・ミュージシャン中村照夫に聞く写真とカメラの話
ビジュアルアーティスト・坂本光則とジョイントして写真展
5年前には東京・新宿の伊勢丹で写真展を開催した中村さんだが、今回はビジュアルアーティスト・坂本光則さんとジョイントで写真展を開くという。タイトルは『EAST and WEST』。70~80年代に中村さんはニューヨークで日本人ジャズメンとして、坂本さんはカリフォルニアを主にネバダ、アリゾナ、ハワイなどさまざまな場所で活動してきた。東と西、2人の異なる視点から撮影したアメリカをメインにした展示となる。 「東と西は音楽でも違いがあるんです。最新の事情はわかりませんが、少なくとも僕がいた頃は東のほうが西よりハードでした。ライブハウスもウエスト・コーストは遅れて出ても文句言われなかったりするんですが東はシビアです。西から来た人はなかなかついていけない。今は知りませんが当時はウォームウォーター、つまりぬるま湯だって揶揄されていました。ジャズの世界だけではありません。ニューヨークでホットドッグやハンバーグを頼むとすぐ出てくるのにロサンゼルスだと30分待ってもまだ出てこないことがよくあった。そんなことニューヨークでやると『いらねえよ』って帰られちゃう(笑)」 写真では東と西の違いがどう出るだろうか、注目したい。 (写真と文:志和浩司)
■中村照夫(なかむら・てるお) 1942年東京都出身。日本大学芸術学部中退後、64年ニューヨークへ。レジー・ワークマンに師事、若手ミュージシャンたちとの交流を経て69年ロイ・ヘインズのバンドでプロデビュー。その後、スタンリー・ターレンタィンのバンドにレギュラー参加するなどベーシストとして実力を上げ73年には初リーダーアルバム『ユニコーン』をリリース。 また、自己のバンド、ザ・ライジングサンを結成、全米ジャズチャートでトップ10入り。79年には日本人ジャズマンとして初めてカーネギーホールに出演した。 写真展『EAST and WEST』は東京・下北沢のギャラリーHANAで8月26日~31日まで。