『べらぼう』蔦屋重三郎活躍前の「江戸の出版業界」。本の影響力を懸念した幕府が発した<出版統制令>だったがまさかの抜け穴が…
◆出版統制令 1722年(享保7年)11月に、江戸幕府は出版統制令を発します。 このときの統制令は、江戸の出版業者たちにそれぞれ仲間をつくらせ、お互いに本の中身を規制させ合うといった内容のものでした。 幕府に関して何か書いていないか。マイナスになるようなことはないかをチェックさせ合う。 こうすることによって、幕府に対してダメなことを書いてある本をいち早く見つけ、市場に流通させないということを目論んだのです。
◆法の抜け穴 幕府は自分たちにいいように情報統制をしようとしますが、ここで片手落ちします。なんと、地本問屋に限って、仲間をつくらせることを命じなかったのです。これは、しくじりました。 もともと娯楽色の強い地本です。規制してくるたんこぶがないとなれば、完全に書きたい放題。次から次に幕府に対する風刺や批判が書かれた本が出版されるようになってしまいます。当たり前です。法の抜け穴ってこういうことをいうんですよ。 大衆は大喜びです。地本は面白いとなり、人気はますます高まって行ったのです。 蔦屋重三郎が耕書堂を開いたのは、ちょうどこの頃になります。時代の流れを読み、そこに「素早く」乗ったことも重三郎の才覚の一つだったのではないでしょうか。 ※本稿は、『べらぼうに面白い 蔦屋重三郎』(興陽館)の一部を再編集したものです。
ツタヤピロコ
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