角田光代の「ナムル観」をくつがえした韓国料理店とは/著名人3人の「行きつけ」を公開
■ミュージシャン 小宮山雄飛さんの3店 ミュージシャンのかたわら、グルメ雑誌やTV番組などで活躍し、自らのレシピ本も出版している小宮山雄飛さん。お気入りは数多くあるというが、今回はその中から、厳選した店を特別に紹介してくれた。 【初音鮨/渋谷区】 1978年の創業以来、地元の人たちに愛されている町鮨「初音鮨」。ヒノキのカウンターには店主自ら豊洲で目利きした良質なタネが並び、期待が高まる。この日のおすすめは新子(コハダの稚魚)の酢締め。個体の特徴を見極めながら締める時間を調整し、絶妙な味加減に仕上げる。新子は身が小さいため2枚重ねて握るのだが、これはこの時期ならではのスタイルだという。 小宮山さんが必ず頼むというすじこの細巻きは、塩気が効いていてお酒のつまみにぴったりだ。日本を代表するクリエイティブディレクターの杉山恒太郎さんに「すじこの細巻きをツマミに酒を飲むのがかっこいい大人だ」と教わって以来、必ず頼んでいるという。 小宮山さんは言う。「週末は昼からこちらで飲むことも多く、家族とも友達とも行ける素敵なお店です」。 【並木藪蕎麦/台東区】 浅草・雷門にほど近い場所に佇む「並木藪蕎麦」。大正2年の創業から約1世紀続く、日本を代表する蕎麦の名店のひとつだ。濃いめのつゆでいただく十割蕎麦は創業当時から一切変わらない味で、何代にもわたって多くの常連が通う。 小宮山さんがこちらでいただくのは、「天ざるそば」。「よくある大きな海老1本ではなく、中くらいのサイズの海老が数本付くのですが、衣とのバランスや揚げ方も見事でおいしいです」と小宮山さん。飾り気のない洗練された店内もまた、老舗の美学を感じさせる空間だ。
【ハングリータイガー/港区】 小宮山さんが中学生の頃から通っているという老舗イタリアンが「ハングリータイガー」。直径2.1ミリの昔ながらの太麺を使ったパスタはボリューム満点で、ランチタイムには近隣で働く人たちの行列ができる。 看板メニューは「ダニエル」。どこか懐かしい味わいの中に、ガーリックのパンチが効いて、不思議とまたすぐにでも食べたくなる。小宮山さんのお気に入りは、ペスカトーレにバジリコがたっぷり入った「ペスカコンバジ」。極太のワイルドなパスタに魚介とニンニクの風味が効いていて、お気に入りです。 ミュージシャン 小宮山雄飛さん/東京都出身。渋谷区観光大使。ホフディランのVo&Keyとしてデビュー。グルメ全般に精通し、食関連の雑誌連載やカレーのレシピ本出版など、広範囲で活躍中 ■文筆家・エッセイスト 甲斐みのりさんの3店 旅や食べもの、建築についての著書も多い甲斐みのりさん。教えてくれた「とっておき」は、東京らしい景色を望めるレストランや、まるで映画に出てきそうなバーまで、心躍る3店だ。 【東京會舘銀座スカイラウンジ/千代田区】 1965年のオープン以来、回転レストランとして人気を博した「東京會舘銀座スカイラウンジ」。東京交通会館の15階にあり、丸の内や銀座、東京駅方面を一望できる。現在、回転は止まっているものの、「長年の間受け継がれてきたクラシックスタイルの伝統料理はどれも絶品」と甲斐さん。 お気に入りのひとつ「パフェ マロンシャンテリー」は、70年以上前に誕生した東京會舘伝統のスイーツ「マロンシャンテリー」がパフェになった、銀座スカイラウンジ限定のメニュー。「舌平目の洋酒蒸 ボンファム」も、「ふっくらした舌平目を芳醇なソースが包み込み、なんとも幸せな味わいです」(甲斐さん)。非日常な空間で伝統を感じる味を堪能したい。