共働きのほうが離婚しても困らない、夫婦関係も対等 厳しい社会を生き抜く学生の価値観
■夫婦でスイッチング 「男性の負担」は、氏家さんが感じている課題の一つだ。 キャリア面談の場では、50代以降のシニア男性からメンタルの不調を打ち明けられたことが幾度もあったという。 「心のバランスを崩しても、お金のことを考えると我慢するしかなかったという話をよく聞きます。誰にいつ何が起きるのかわからないので、夫婦どちらにもスイッチングできるのはとてもいいことだと思います」 ■厳しい社会こそ共働き 大手企業で働く女性(33)もスイッチングで家庭の危機を乗り切った。27歳で結婚し、2歳になる子どもを育てながらフルタイムで働いている。専業主婦家庭で育ったこともあり、退職を考えたこともあるが、育休を終えてすぐに、共働きでよかったと実感する出来事があった。女性は言う。 「夫が体調を崩して休職することになったんです。世帯収入は少し減りましたが、夫がだましだまし働くのではなく休職を決断できたのは、自分が働いていたことも大きかったと思います」 共働きのメリットは、夫婦間のスイッチングだけにとどまらない。 「日本の将来推計人口」の調査では、日本人の平均寿命が2070年には男性が85・89年、女性が91・94年になるともいわれている。健康寿命も年々上昇を続け、25年4月からは「65歳までの雇用確保」も義務付けられる。氏家さんは言う。 「今の学生がシニア世代になる頃には、働く期間はもっと長くなっている可能性もあります。社会保険の負担が高くなったり、世の中は今より厳しくなるからこそ、共働きのメリットはより大きくなります」 (編集部・福井しほ) ※AERA 2024年11月25日号より抜粋
福井しほ