診断まで36年―高熱と痛みを繰り返す希少疾患「家族性地中海熱」 患者が抱える課題は
◇うそをついているのではないか…得られない周囲の理解
発熱などの発作症状が起こると心臓や肝臓にダメージを与えてしまうため、発作を予防するために毎日の服薬と、発作のきっかけとなる因子を避けることを心がけています。発作のきっかけは人によって異なりますが、ストレスや疲労が共通因子として挙げられます。私の場合、けがをすると防御反応による炎症で発作が起こってしまうので、けがにも注意しています。 日常生活で無理をしないことは発作予防のために大切なのですが、周囲からは怠けていると誤解されがちです。また、解熱後は何事もなかったかのように元気に見えるため、「うそをついているのではないか」「精神的な問題ではないのか」と言われることが多いのは家族性地中海熱患者の共通の悩みです。私は子どもの頃、毎月発熱で学校を休んでいると、担任から呼び出されて「なぜ学校に来ないのだ。保健室でもよいからきちんと通いなさい」と言われたことがあります。ひどいときには学校に行ったら「もう来ないと思った」と言われ、机が片づけられていたこともありました。家族性地中海熱という病気であることを周りにきちんと伝えてもなかなか理解が得られず、学校や仕事に行けなくなってしまう方はとても多いです。 家族にさえ理解してもらえない方も多く、患者会の皆さんはよく「敵は身内」とおっしゃいます。「どうして学校/仕事に行かないのだ」「どうして動けないのだ」など、理由を問われるのがとてもつらいという話をよく耳にします。家族性地中海熱は、発作期間とそうでないときの体調に差が大きいことが特徴です。主治医から病気の説明を受けて頭では理解していても、実際に目の前にすると信じられない気持ちが勝ってしまうのかもしれません。 誤解されがちな病気であるからこそ、私たちには1人でも多くの理解者が必要です。家族に疑われるのは非常につらいことですし、それがストレスとなり発作を誘発させてしまうこともあります。せめてご家族の皆さんには、どうかよき理解者であってほしいと願います。