大学入試数学「1問あたりにかけられる時間」をご存じか…なんと、「アインシュタイン」の方法を試すのが「解決への近道」だった
東大や京大ほか、難関大学が出題した入試問題には、「数学の本質」がいっぱい詰まっている! 「よりすぐりの良問」を格好の素材として活用する新しい学習法を紹介した『中学数学で解く大学入試問題』が話題になっています。 中学数学の限られた知識や技術で、大学入試問題がなぜ解けるのか? どう解くのか? 思考過程を重視した素朴な解法を通して、有名大学の問題が「わかる喜び」「考える楽しさ」を体感すれば、「数学的思考力」が驚くほど身につく! *本記事は、『中学数学で解く大学入試問題 数学的思考力が驚くほど身につく画期的学習法』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
実験+理論=科学の両輪
「実験」は、「理論」とともに科学の両輪であり、科学はこれらが揃って発展してきました。 実験 → 理論の例:地動説 膨大な天体の(実験ではありませんが)観測結果と合致するように、天動説をあらためた 理論 → 実験の例:重力波 1916年に、一般相対性理論に基づいてアインシュタインが重力波の存在を予言し、そのちょうど100年後の2016年に検出された アインシュタインはまた、「手鏡に自分の顔を映しながら光速と同じ速さで走ったら、鏡に自分の顔が映るのか?」という「思考実験」から、1905年に特殊相対性理論を発見しました。これらの例から、「実験」の重要性がおわかりかと思います。 アインシュタインが、特殊相対性理論から一般相対性理論へと進んだように、数学の問題を解くにあたっても「特殊な場合で手を動かして、一般化する」という流れで臨みたいところです。
特殊と一般の間に横たわる10年は何を意味するか
しかし、注意点があります。 相対性理論においても、特殊相対性理論の発表が1905年、それを発展させた一般相対性理論の発表が1915~1916年と、特殊と一般の間には10年の開きがあります。「特殊→一般」へ歩を進めるのは容易ではなく、安易におこなうことは危険でもあります。 ここで、オイラーの素数生成(多項)式 n²-n+41について考えてみましょう。これは、すべての自然数において、素数を生成することができるでしょうか? オイラーの素数生成(多項)式 n=1のとき 1²-1+41=41……素数 n=2のとき 2²-2+41=43……素数 n=3のとき 3²-3+41=47……素数 n=4のとき 4²-4+41=53……素数 n=5のとき 5²-5+41=61……素数 です。 しかし、n=41のとき 41²-41+41=41²(=1681)で、これは素数ではありません。じつは、この式はn=1からn=40までは素数を生成しますが、n=41のときに初めて素数でなくなります。 補足すると、***** n=42のとき 42²-42+41=42(42 -1)+41 =(42+1)41 (=43・41=1763) ですから、41と43で割り切れ、素数ではありません。さらに、 n=43のとき 43²-43+41=1847……素数 です。このように、n=41、42のときに素数ではありませんが、それ以降も素数が生成できる場合は数多くあります。
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