約2年ぶり国内世界戦に挑む井上尚弥に“見えない敵”…ドネアとPPV料金3960円にふさわしい「KOの仕方」
ボクシングのWBA世界バンタム級&IBF世界同級タイトルマッチの前日計量が13日、横浜のベイシェエラトンホテル&タワーズで行われ、2団体王者の井上尚弥(28、大橋)と挑戦者のIBF同級5位のアラン・ディパエン(30、タイ)が共に一発でパスし(リミット53.5キロ)共同記者会見に臨んだ。今回の試合は、約2年ぶりの国内リングとなり、地上波中継はなく日本のボクシング界で本格的には初の試みとなる「ひかりTV」と「Abema」でのPPV(有料配信)となる。井上が「期待と想像を超える、それ(料金3960円)を満足させる試合をしたい」と言えば、挑戦者も「オレはモンスターハンターだ。自信はある。前にプレスをかけてKOで勝つ」と豪語した。来春には、WBC世界同級王者のノニト・ドネア(39、フィリピン)との3団体統一戦を実現したい井上にとっては、「勝ち方」ではなく「倒し方」さえをも求められる“見えない敵”との戦いになる。
挑戦者は「オレはモンスターハンターだ」
井上の肉体はサイボーグのように仕上がっていた。腹筋は見事に8パックに割れ、何ひとつ贅肉のない逆三角形のシルエットが美しい。 一方のディパエンも分厚さでは井上よりやや上。「体を見た感じしっかりと仕上がっている」と井上が言えば、大橋秀行会長は「一発のパワーを感じさせる体。ボクシングは何があるかわからない。油断できない」と警戒心を強める。 12勝(11KO)2敗で79%のKO率を誇る超好戦的なハードパンチャー。フェイスオフは、約19秒間。井上から手を差し伸べて握手した。 記者会見は、計量の約45分後に行われ、その間、水分と簡単な食事でリカバリーしてきた井上のコケていた頬は、一瞬にして戻り、すっかり生気を取り戻していた。 「リカバリーも終わり気持ち的にリラックスして落ち着いている。明日は2年ぶり(の国内の試合)で楽しみにしている。みなさんも楽しみにしてくれていたので、その分、素晴らしい試合をする予定。力の差を見せて、次に来春のビッグマッチ(統一戦)を迎えたい。危なげなく、いつも通りしっかりと勝つだけ」 タイ人も負けてはいない。前回の来日は2年前。アンダードッグ的な立場で後楽園ホールのリングに立ち、東日本新人王の荒川竜平(中野サイトウ)とノンタイトル6回戦で対戦して2回に強烈な右ストレートで2度ダウンを奪ってTKO勝利した。「今回も同じでまたKOで勝つ」。そして突然声のトーンを変え、こう吠えた。