西武が吉田輝星を粉砕し単独2位浮上…CSマジック「3」点灯に辻監督は「残り4試合を死ぬ気で戦う」
吉田のピッチングは精彩を欠いていた。それでも打線は決して大振りせずにボールを見極め、出塁を優先させることで容赦なくマウンド上の19歳を追い込んだ。加えてチャンスでは好球必打の積極性が連鎖を作った。 再び4点を奪いビッグイニングとなった2回も、足と小技で吉田を揺さぶった。四球を選んだ金子が、源田の初球でいきなり盗塁を決める。左打席に立つ源田は、金子を三塁へ進める仕事に集中した。 「あの場面では進塁打を打とうと引っ張りにいきました。打ったのは多分、まっすぐだと思います」 源田の一撃は一、二塁間を破るタイムリーとなった。瞬く間に5点目を失った吉田が、二死一、二塁までこぎつけた場面でボールが先行すると、まだスパンジェンバーグが牙をむいた。カウント2-0からインハイの141kmのストレートを強引に引っ張ってライト席の最上段にまで運んだ。 大量8点を奪い勝負あった。 だが、絶対に落とせない試合である。辻監督は慎重だった。 先発のマウンドに送ったザック・ニールが3回に2点を失い、さらに6回に3点目を失うと6点差があったが無死一塁、球数が79球という状況で降板を告げた。小川龍也から平井克典、リード・ギャレット、前日3日に出場選手登録された齊藤大将と4人でつなぎ日ハム打線の反撃を封じて本拠地最終戦を快勝で飾った。2桁得点で守護神の増田達至、3連投していた森脇亮介と平良海馬の勝ちパターンのブルペン陣に休養を与えることもできた。 ついに単独2位浮上。 試合後の本拠地最終戦セレモニーで辻監督は「明後日からの4試合、死ぬ気で戦ってきます」とファンの前で宣言した。ライバルのロッテがソフトバンクに連敗、4位の楽天も最下位オリックスに連敗を喫して、両チームの自力でのCS出場の可能性が消滅、3位のロッテを対象にCSマジック「3」が点灯した。 58勝55敗3分けと今季初めて貯金を3に増やした西武と、57勝56敗3分けと貯金が目減りしてきたロッテ。勝敗が並んでレギュラーシーズンを終えた場合、今季のパ・リーグは、直接対決で勝ち越しているチームが上位に来ると規定されているため、15勝8敗でロッテに勝ち越している西武が、現状では1ゲーム差だが、実質的には2ゲームをつけていると言っていい。西武の試合が組まれていない5日にロッテがソフトバンクに3タテを食らえば、マジックが「2」に減る。西武は6日から敵地で楽天2連戦。ロッテは6日に試合がなく7日にオリックス戦があるため、西武の連勝、或いは、ロッテの勝ち負け次第で最短7日にも西武のCS出場が決定することになる。 「気持ち的にはそういう見方になるだろうし、もちろん(ロッテより)上にいるということは、このまま負けなければいいわけですから。ただ、まだまだ楽天戦もあるし、その意味では最後まで気を抜けない。1試合1試合、ウチは勝つしかない」 楽天との2連戦で決められなかった場合、ロッテ、ソフトバンクとビジターでの2試合が続く。仙台から千葉、福岡への移動に、ナイターからデーゲーム2つをはさんで再びナイターとの過酷日程だ。 「なので、いままで以上に集中力をもって、残り4試合を戦ってくれると信じています」 変貌し始めた選手たちへ辻監督は全幅の信頼を寄せた。ソフトバンクへの挑戦権を手にするための戦いが、いよいよクライマックスを迎える。 (文責・藤江直人/スポーツライター)