米大統領選、勝敗の“カギ”を握る州は? ヒスパニック系の動向にも注目 渡辺靖・慶應大教授に聞く
米大統領選の投開票日(3日)がいよいよ迫ってきた。共和党のドナルド・トランプ大統領と民主党のジョー・バイデン元副大統領は各地の集会に足を運び、最後の訴えに力を注ぐ。選挙戦の最終盤、関心の的となっているのが、どちらの候補が勝つか分からない「スウィング・ステート(激戦州)」の情勢だ。報道によっても見方が分かれる中、アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺靖氏に見解を聞いた。 【図解】3分でわかるトランプvs.バイデンの争点――次の4年を占う、70代の頂上決戦
米国の大統領選では、全50州と首都ワシントンDCの計51地域ごとに割り振られた選挙人を獲得し、過半数である270人に達した方が勝利する。ほとんどの州では、獲得票数が1票でも多い方がその州の選挙人を総取りする仕組みになっている。 歴史的に共和党が強い州はレッドステート(赤い州)、民主党が強い州はブルーステート(青い州)と呼ばれてきた。その“強さ”にもグラデーションがあり、盤石なところから「やや優勢(=接戦になる可能性がある)」なところまである。当然ながら、各州の情勢は不動なものではなく、時代や候補者によって変化する部分もある。 選挙戦終盤、両陣営は共に、優勢な州や支持層の足元を固めるとともに、どちらに振れるか分からない州、さらには相手が落とせない州に攻勢をかけている。
両陣営の“落としたくない州”
――激戦州がだんだんと絞られてきました。どこの州に注目していますか? もの凄く民主党有利、もの凄く共和党有利という州がある一方で、どちらに転ぶか分からない微妙な州があります。 いま270のボーダーに引っかかってきているところがペンシルベニア州(選挙人数20)です。両陣営とも落としたくない。さらに言えば、トランプ大統領がペンシルベニアの次に絶対に落とせない州はアリゾナ州(同11)とかフロリダ州(同29)、ノースカロライナ州(同15)、ジョージア州(同16)です。ここを落とすと、どうやって270を確保するかが描きにくくなります。 ――バイデン元副大統領からするとどうでしょうか。 バイデン氏の場合は、ウィスコンシン州(同10)、ミシガン州(同16)がポイントとなります。この辺りの州を落とすとちょっと苦しくなる。だけど、逆にそこを落としても他の州を獲ればまだ道がある。トランプ大統領の方が、はるかにパス(勝ち筋)が狭いと思います。