今季限りでリーグ脱退、広島エフ・ドゥと命運を共に「このクラブがあって人生が変わった」闘将・岩田裕矢が最後まで注ぎ続ける情熱|フットサル
キャプテンとして若手と歩んだ1年間
──復帰3年目で、初めてキャプテンとして挑んだ今シーズンを振り返って。 一言で言えば、広島にきてこんなにしんどいシーズンは初めてでした。僕が復帰してからは毎年主力メンバーが抜けているので、チームの積み重ねがなくゼロからのスタートになってしまうことがきつかったです。 キャプテンになった最初は「やったろう」という気持ちで挑みましたが、逆に自分1人で考えすぎてしまい、カラ回りしていたと思います。でも、フットサルとしっかり向き合うことができましたし、人としても成長できたシーズンになりました。 ──若い選手が多いからこその難しさはありましたか? そうですね。大学卒業したばかりの選手や大学在学中の選手が多いので、フットサル経験では他のチームに比べたら劣ってしまう部分はありました。僕が引退することはシーズン前に決めていたので、フットサルの知識や熱量をどう年下の選手に落とし込めるかは、自分のなかで意識していました。 ただ、若手の明るさや元気、パワフルさはチームにとってプラスでしたし、練習前後や、オフの時間で彼らとコミュニケーションを取ることで、自分も励まされました。若手の活躍がチームの原動力になりましたし、シーズンを通しての成長をすごく感じます。助けられてばかりでしたね。 ──キャプテンになって変化したことはありますか? 昨年まではある程度、得点といった自分の結果だけを考えていましたが、今シーズンはチームの勝利に目が向いていました。 そのなかでも「自分が点を取らんとダメじゃ」という気持ちはどこかにありました。ただ自分がゴール前に行くと守備が手薄になってしまうことや、僕が1人で打開して点を取れるタイプではないことから、自分の不甲斐なさを感じたり、葛藤することはありました。シーズン中に何度も紆余曲折を繰り返しましたね。 最終的に、若手が得点したり良いプレーをしたりした時に、新しい広島を見てもらえたのではないかなと思います。「プレーを見て、熱くて元気づけられました」というファンからの言葉は支えになりました。 ──今シーズン、苦しい時に大切にしていたことを教えてください。 「人のためにプレーすること」をとにかく大事にしていました。 家族や応援してくださる皆さんのために、プレーと結果で恩返ししようという気持ちは常にありました。自分のためだけではここまでできていません。ファンサポーター、 広島のスタッフの方々のためにも、試合が終わったら、その1時間後には次の試合に向けて「もうやるしかない」と切り替えるようにしていました。 ただ自分はけっこうポジティブなので、もうダメかと思う瞬間があっても「いや、俺ならできる」と思えていましたし、そこまで沈み込むことはあまりありませんでしたね。フットサルへの熱量と姿勢は変えることなく取り組めていたと思います。