「あなたとは離婚するわ!」50代妻が「若年性アルツハイマー」になった「同級生夫」を見捨てたワケ
好きだけど、別れる。悲しい決断を、なぜ選ばざるを得なかったのか。
最近、パッと人の名前が出てこない、一昨日の夕飯の献立が思い出せない、よく眠れないことを「忙しさ」や「疲れ」のせいにしている中間管理職のサラリーマンは多いのではないだろうか。 この記事の他の画像を見る 危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。 「中間管理職世代は、自身に起きる不調を『疲れ』や『ストレス』が原因だと捉えがちです。仕事が忙しいため、病院へ行く時間を作れないからだと思われます。 これまでドラマや映画でも取り上げられた『若年性認知症(若年性アルツハイマー)』。その初期症状に、頭痛やめまい、不眠がみられます。認知症とは、脳の神経細胞の働きが低下して、記憶や判断力などの認知能力が衰えるもので、少子高齢化が進む日本では年々、その数は増え続けています。 不調を感じた際は、自己判断せず受診することをおすすめします」 木下郁子さん(仮名・56歳)は、まさにその現実を目の当たりにしている。 「初めは、夫が部署移動を言い渡されて、少し落ち込んでいるだけだと思っていたんです。確かに50代で部署が変わるって……肩を叩かれているということですよね。私も働いているんで、そのくらいのことはわかります。でも部署移動の理由が『病気』だったとは、そのときはわかりませんでした」 郁子さんと夫は大学時代の同級生だ。 「結婚して20年くらいですね。子どももなんとか成人して、これからまた夫婦の時間がはじまるね、なんて話をしていたのが、もう遠い昔のようです」 事の発端は、夫が預金口座の暗証番号がわからないと言い出したことだったという。 「給料日だったと記憶しています。19時頃だったかな? 急に電話がかかってきたんです。暗証番号がわからないって。共働きだったものですから、お互い給料は個別に管理をしていたので、私は彼の口座の暗証番号を知りません。それで、その日は結局思い出せずじまいだったんです」 その日、夫は思い出せないことにとても落ち込んでいたが、容子はさして気に留めなかったという。 「その頃、夫は眠れない日が続いていたんです。会社での部署移動が相当、ショックでちょっとうつ病っぽい感じなんだろうなと思っていました。だから、きっとすぐに思い出すよ、そんな風に励ましてその日は早く就寝しました」 翌日になると夫は、何事もなかったかのように暗証番号を思い出した。 「ほらね、って。それから、そういうことが何回かあったんです。でもすぐに思い出すことができたんで、年だからかなと、一過性ものだと決めつけてしまっていました」 ところがある日、寝ようとしたときのことだった。