ソフトB優勝でパの焦点はCS出場権争いへ…3位・西武が楽天に逆転勝利で2位・ロッテにピタリ2ゲーム差
終わってみれば、4回に下妻に許した二塁打以降は楽天打線を無安打に、許した走者も増田が渡邊に与えた四球ひとつだけに封じ込めた。就任4シーズン目で通算300勝を達成した辻監督は、追いすがる楽天を1.5ゲーム差に引き離し、2位の千葉ロッテマリーンズに2ゲーム差と背中が見える位置に肉迫する状況とともに、リリーフ陣への負担を大きく減らした高橋の気迫に表情を綻ばせた。 「7回までいってくれたのが本当に大きかった。今日からラストスパートの9連戦で、中継ぎのピッチャーも上手く使っていかなきゃいけないなかで、後を平良と増田の2人で終えられたので」 残された戦いはロッテの11試合に対して西武は12試合。直接対決が敵地・ZOZOマリンスタジアムで来月8日に行われる1試合しかないため、自力でのCS進出は現時点ではかなえられない。ただ、勝ち星を積み重ねていけば、さまざまな形でプレッシャーをかけることができる。だからこそ、終盤戦でめぐってきた本拠地9連戦は、パ・リーグ3連覇を逃した西武の真価が問われる舞台になる。 その大事な初戦を託され、チームトップの8勝目をあげた高橋を、女房役の森は「(ボールを受けていて)一番いいんじゃないかな、と思います」と現時点における西武のエースだと称えた。開幕直後こそ5連敗を喫した高橋だが、9月に入ってからは復調。同1日のロッテ戦で7回一死まで、8日のオリックス・バファローズ戦では最終回までノーヒットノーランの快投も演じている。 8月以降は必ず火曜日の先発を任されてきたなかで、10月に入って3連勝をマーク。白星と黒星の数をイーブンに戻した高橋は、あと2回は任されると予想されるレギュラーシーズンの先発へ向けて「エースと呼ばれるように、もっと結果を出して頑張りたい」と前を見すえた。 ロッテを下した福岡ソフトバンクホークスが3年ぶり19度目のリーグ優勝を決めたが、もちろん西武の戦いはまだ終わらない。レギュラーシーズンでは9勝10敗1分けとほぼ互角の勝負を演じているだけに、CSの舞台で対峙すれば日本シリーズ進出も見えてくると辻監督は信じている。 「残り試合を考えれば、ひとつも負けられないという気持ちで戦っている。過去2年間は(優勝して)そういう立場ではなかったんですけど、可能性がある限り最後まであきらめずに戦っていく」 28日は最多勝争いでトップに立つ涌井秀章を先発させる楽天に対して、西武はルーキーの浜屋将太をマウンドへ送る。勝ち星こそつかなかったものの、前回21日の先発ではロッテ打線を7回1失点に封じた左腕へ、辻監督は「胸を借りるつもりで、結果を恐れずにいけるところまで頑張ってほしい」と期待を込めながら、初戦で温存できたリリーフ陣を惜しまず投入しての総力戦も思い描いている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)