ソフトB優勝でパの焦点はCS出場権争いへ…3位・西武が楽天に逆転勝利で2位・ロッテにピタリ2ゲーム差
「三振だけは絶対にしたらあかんと思って。次が(4番の)栗山(巧)さんやったので、1点を取って栗山さんに回そう、という気持ちで打席に立ちました。それまで失投が1球もこなかったんですけど、あの一球だけが甘く来たので、しっかりと捉えることができてよかったです」 この後に冒頭で記した「完璧でした」が続く。則本が投じた5球目も150キロを計測したが、捕手の下妻貴寛がミットを構えた外角低めではなく真ん中の、しかもベルト付近に入ってきた。辻監督をして「集中力が出てきた」と目を細めさせていた森が、失投を見逃すはずがなかった。 負ければ楽天に逆転され、CSへ進出できる2位に食い込むどころか4位に転落してしまう。文字通りの大一番で飛び出した起死回生の一発で手にした1点のリードを、前橋育英高2年次に夏の甲子園を制し、2014年のドラフト1位で入団した右腕、23歳の高橋光成が粘り強く守った。 初回にもらったリードが、2回に7番・渡邊佳明、4回には9番・下妻とともに下位打線に許したタイムリーで2点のビハインドに変わった。勝負どころの10月に入って4試合目の先発で初めて喫した失点を境に、ズルズルと悪循環にはまりかねない展開で高橋は心のスイッチを入れ直している。 「初回はよかったですけど、2回以降からちょっとバラつきがありました。しっかりと低目に、丁寧に投げるという意識で何とか粘って、後半にだんだんよくなってきた感じです」 下妻にレフトフェンス直撃のタイムリー二塁打を浴びても気持ちを切らさず、1番・小深田から10人連続で打ち取った。5回は本塁打、打点の二冠を中田翔(北海道日本ハムファイターズ)と激しく争う3番・浅村栄斗、そして4番・島内宏明を連続三振に斬ってその裏の逆転へ士気を高めた。 6回を投げ終えた時点で球数は98に達していたが、味方の攻撃中にまだまだ大丈夫、とばかりにベンチ前でキャッチボールを開始。7回も三者凡退に抑え、トータル108球で新人王を狙う豪腕セットアッパー平良海馬の8回、30セーブで単独トップに立った守護神・増田達至の最終回に繋げた。