名スカウトのドラフト採点「成否ムラのない平均ドラフト。あえて90点と60点の球団を指摘するのなら阪神と西武だ」
プロ野球のドラフト会議が26日、都内のホテルで新型コロナウイルスの感染予防のため異例のリモート形式で行われ、本指名が74人、育成指名が史上最多となる49人となった。注目の“大学BIG2“の近大の大型スラッガー、佐藤輝明はオリックス、阪神、ソフトバンク、巨人の4球団が競合したが阪神が引き当て、早大の155キロ左腕、早川隆久はヤクルト、楽天、西武、ロッテの4球団が競合して楽天が交渉権を獲得した。広島、楽天が即戦力投手を軸にした偏った指名をする一方で、ソフトバンク、オリックスが高校生主体のドラフトを行い、巨人は育成で12人を指名するなど、それぞれのチーム事情や方針がハッキリ浮き彫りとなるドラフトとなった。ヤクルトの名スカウトとして30年以上、ドラフトを見てきた片岡宏雄氏に各チームのドラフトの成否を採点してもらった。
即戦力集中補強型は楽天と広島
片岡氏は、成否採点の難しい「ムラのない平均ドラフトだった」と総評した。 「それぞれのチームの目的にあったドラフトだったと思う。成功した球団、明らかに失敗した球団と採点で色分けをするのが難しい、ムラのない平均ドラフトだった。その中でも来年巻き返さねばならないチームの即戦力集中補強型、即戦力バランス補強型、数年後を見据えた未来型、そして地元優先型にタイプは分かれた。3位までに評判の大学生が、ほぼ消えたが、新型コロナの影響で選手を見れなかった影響だろう」 1、2位指名で大学生が15人、社会人が3人、高校生が6人となった。大学生が中心となった理由は、新型コロナの影響でリスクの少ない評価を優先した結果が、大学生に落ち着いたと見ている。 片岡氏は、即戦力集中補強型の成功チームとして、西武、ヤクルト、ロッテとの4球団競合の末に早川を引き当てた楽天、手堅く社会人ナンバーワン投手の栗林良吏(トヨタ自動車)を1本釣りした広島を挙げた。 「早川を引き当てた楽天は上位4人が投手で、しかも全員が大学、社会人。早川はセンス、コントロール、スピードを兼ね備えている左腕で、2桁確実とまでは言わないが、間違いなくローテーでは使える。残りの3人のうち1人でも出てくれば、来年の戦力はアップする。投壊に苦しんだ広島も1位から5位までが投手。4位の小林樹斗(智弁和歌山)以外は、社会人、大学生、独立リーグと即戦力投手に焦点をおいた」