考察『光る君へ』22話 周明(松下洸平)登場!大陸の波打ち寄せる越前での運命的な出会いからの衝撃「日本語喋れるんかい!!」
まひろがお姫様扱い
まひろが国司の姫君として通されたお部屋の素敵なこと! これほどまでのお姫様扱い、家事をしなくてよい生活は生まれて初めてでは……? 文机の上にあったのは越前和紙だろうか。美しく漉き込まれた青い色に触発されて書き込んだのは、 かき曇り夕立つ浪の荒ければ浮きたる船ぞしづ心なき (空一面、一気に曇って夕立がやってくる。浪が荒いので、そこに浮かぶ舟はゆらゆらと揺れる) 『紫式部集』にある歌だ。 都から越前に向かう途中、琵琶湖で夕立にあった時のことを詠んだものだという。 都にいた時よりもずっと豪華な調度品に囲まれて、まっさきに手に取るのが紙、そこに歌を書くのが彼女らしい。
為時の不器用
源光雅が為時に渡そうとする賄賂。 なるほど、前回21話で宣孝(佐々木蔵之介)が言っていた「土地の者どもと仲良くやれば、懐は肥えるいっぽうだ」の言葉の意味は、こういうことも含んでいたのかも。 賄賂を突き返した翌日から、橋の着工要望から住民同士の小競り合い、租税の交渉だの横領の訴えだの。 女房がキツネに化かされて毎晩いなくなるというあなた、たぶん奥方は浮気してますわよ。知らんがなと言いたくなるような訴え事まで……。 「越前のことは越前の者にお任せくださいませ」を、いやそうはいかぬと言ったために、陳情者を、直接全員送り込んでくる嫌がらせだ。 その地を掌握する者との対立を避けて賄賂をいったん預かりおき、あちらとこちらの関係をうまく取り持てそうな者をまず見つけて根回しする……そんな器用なことができる人間であれば、10年も冷や飯を食ってはいないのだ。 越前の役人たちよ、為時の不器用ぶり、いや実直さをなめてもらっちゃ困る。 でもこういうことは、宣孝ならうまくかわせそうな気がする。世慣れた彼のアドバイスがほしいところだ。
「不可解、不可解」
ストレスと緊張と疲労で、体調不良に陥る為時に同情する……そして、はじめての鍼治療が周明から施された。 治療で快方に向かったのを逃さず、朝廷への貢物を為時に承諾させる朱は、少なくとも源光雅よりは一枚も二枚も上手の交渉上手のようだ。さすが商人。しかし貢物は、経済的、外交的に重要な意味を持つことがままある。まだ狙いがはっきりしていない相手からの貢物、公任(町田啓太)の言うように不可解である。多少警戒するのは当然だ。 ところで、オウムに興味津々の実資。「不可解、不可解」と覚えさせようとしているが、そもそもこのオウムは朝廷……帝への献上品である。帝がオウムをご覧になるとき 「フカカイッ!!(CV:種﨑敦美)」と叫ぶのではないか、大丈夫か。