「選手に寄り添う指導者に」恩師がエール パリ五輪柔道団体「銀」の新添さんが引退
そして今月7日。「これまでを振り返り、頑張ったのではないか。自分に花丸をあげたい」。新添さんは報道陣を前にこう語り、引退の意思を示した。
翌日に東京の柔道大会会場で新添さんに会ったとき、「ニュースを見たよ」と声をかけると「実はそうなんです」と言葉少なにこたえた。「よう頑張った」と声をかけるのがやっとだった。
苦しんだからこそ
上島さんの頭によぎったのは、小学1年の新添さんだ。初めての大会当日、「試合なんか出たくない」と泣いて親の車から降りようとしなかった。上島さんが「試合はしなくていいよ」と話すと、安心したように車から降りてチームを応援した。
上島さんは「試合前に泣きじゃくっていた女の子が、五輪の舞台に立った。十分に大きな花丸です」と目を細める。
新添さんは今後について、「いいところを伸ばせる指導を学びたい」とも語っている。上島さんは「苦しんできた彼女だからこそ、思うように体が動かないという選手に寄り添える。彼女のように畳にバチっとたたきつける切れ味鋭い内股ができる選手は多くない。コーチになって若い選手と五輪を目指す姿を見たい」と期待を込めた。(小畑三秋)
■にいぞえ・さき 奈良県橿原市出身。奈良・天理中学、天理高校から山梨学院大に進学し、自衛隊体育学校へ。170センチの長身から繰り出す内股を得意とし、2023年の世界選手権で初優勝してパリ五輪代表に内定した。五輪の個人戦は準々決勝と敗者復活戦で敗れて7位となったが、混合団体では準々決勝と準決勝で勝利し日本の銀メダルに貢献した。
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