樋口恵子×下重暁子 平均して男性9年、女性12年の「寝たきり期間」があるって本当?実はかなり曖昧な<健康寿命>の定義を考えてみる
◆「多少の不調」の考え方 下重 まわりを見ても、日常生活を制限されている70代の女性はそんなにいない気がします。あまり言葉に踊らされて、不安にならなくてもいい、ということかもしれませんね。 樋口 定義が曖昧であっても、「健康寿命を延ばそう」という考え方自体は賛成です。私もそのために、さまざまな提言をしてきました。 ただ、ほんのちょっとした不調でも「歳をとると病気ばかりしている」「あちこち衰えてつらい」と嘆いて落ち込む人もいれば、「多少、不調はあるけどまだまだ元気」と考える人もいる。感じ方は、人それぞれ。 下重 ある程度、高齢になると、まったく若い頃と同じというわけにはいきませんよね。多少の不調があっても、それが老いるということですから、「まっ、そんなもんか」と受け入れたらいいんじゃない?
◆老いの実況中継 樋口 そうですね。私は人前に出る際には、「ヨタヘロの姿をみなさまにお見せして、同情をかっておりま~す」などと元気よく言って、あえて老いの様相(ようそう)を晒(さら)しております(笑)。 雑誌で老いの実況中継もしておりますし。高齢社会をよくするためにモノ申してきた人間の責務として、老いの現実を余すところなくお見せし、実感に基づく発言もしていこうと考えています。 下重 樋口さんにはぜひ、どんどん発信していただきたいです。私は人前に出るときは「今88歳、絶対にそうは見えませんよね」とあいさつしています(笑)。 ※本稿は、『90前後で、女性はこう変わる』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
樋口恵子,下重暁子
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