ママと区議のタッグで学童への弁当宅配が可能に――子育て行政に変化を促す「ママインターン」とは?
「あと、新生児のいる家庭を訪ねる『赤ちゃん訪問』の保健師さんは女性じゃなきゃいけないのか、男性でもいいのかを知りたいと思ったときに、意見を聞けたのも助かりました。男性の保健師も増えてきていますから。私は、おっぱいのケアをする場合もあるし、女性のほうがいいのではと思ったんですが、『専門職なら男性でもいい』という人もいました。自分では気づかないところです。しかもママインターンの人たちは、行政がモニターとしてとりづらい層なんです」 本目さんは2011年に29歳で初当選。子育て政策をメインに活動している。ママインターンを思いついたのは2019年のこと。 「『何代も前から江戸っ子だよ』みたいな人たちは、何か困ったら区へ陳情したり、地元の議員に相談したりという回路が生活のなかにあります。でもほかの土地から転入してきた子育て世代の方たちには、そういう発想もつながりもない場合が多く、議員としても声が拾いにくい。私がもっとも支援したいと思っているのはそういう人たちなので、こちらからリーチする方法はないかと考えたんですね」
「うちの区の学童、共働き世帯にやさしくないよね」言うだけでなく、行動してみる大切さ
本目さんの取り組みを見て「自分もやりたい」という議員が現れた。これまでママインターンを受け入れてきた地方議員は11の市区町および都の16人、うち2人は男性議員だ。ママインターンは延べでおよそ80人にのぼる。 インターンと議員のタッグで具体的なアクションにつながった例もある。 東京都江戸川区に住む林亜妃子さん(38)は、2020年から区議の小林あすかさんのもとでインターンを始めた。夫婦共働きで、小6、小2、3歳の3人の子どもを育てている。 「結婚して子どもが生まれると、行政と関わることが一気に増えるんですね。そんななかで『江戸川区の子育て行政、こういうところに問題があるのでは』という思いがあったんです。学童保育の預かり時間も短いし、保育園も0歳から預けられないところが多いし。そんなときに(小林)あすかさんのSNSでママインターン募集を見たんです」 ママインターン活動のなかで始めたのが、「学童への弁当の宅配」である。学童に子どもを通わせていると、学校の長期休みは毎日弁当を持たせる必要がある。保護者にはその準備が負担だ。渋谷区などすでに実施している自治体はあったが、江戸川区では前例がなかった。 「あるとき、あすかさんとやりとりしていて『学童への宅配弁当があったらいいですよね』という話になったんです」 小林さんも子どもが2人いて、議会で「学童の弁当問題」について質問したり、教育委員会にかけあったりしたことがあった。