「帯状疱疹」で後遺症を残さないためにどうすればいいか、ご存じですか?【医師解説】
帯状疱疹にかかったら?
編集部: どのような人が注意をするべきですか? 加藤先生: 成人のほとんどは抗体を持っているため、帯状疱疹そのものがほかの人に感染して帯状疱疹を引き起こすことはありません。しかし、抗体を持っていない新生児や著しく免疫力が低下している人は注意が必要です。 また、妊娠中に感染すると重症化しやすく、胎児にも影響があるため、帯状疱疹を発症した場合は妊娠中の方との接触を避ける必要があります。 編集部: 帯状疱疹の治療にはどんなものがありますか? 加藤先生: 帯状疱疹の治療には、抗ウイルス薬と鎮痛剤が使用されます。抗ウイルス薬はウイルスのDNA合成を妨げ、増殖を抑える効果があります。痛みに対しては鎮痛剤が使用されますが、痛みが強い場合には神経ブロックを併用することがあります。
「帯状疱疹後神経痛(PHN)」って? どうやったら予防できる?
編集部: 「帯状疱疹後神経痛(PHN)」についても教えてください。 加藤先生: 帯状疱疹発症後3ヶ月以上にわたり強い痛みが続く状態を「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼び、帯状疱疹とは異なる治療が必要になります。 PHNの痛みは「刺されたような痛み」や「ヒリヒリ焼けるような痛み」と表現されることが多く、放置すると痛みが徐々に強くなる場合があります。 編集部: どのような治療を行いますか? 加藤先生: PHNの治療には薬物療法と神経ブロックが用いられます。PHNなどの慢性痛は、強い痛みが長期間続くと重症化しやすいことがわかっています。 そのため、帯状疱疹になった場合、薬物療法に加え、早期に神経ブロックやパルス高周波療法を併用して可能な限り痛みを抑えることが推奨されています。 編集部: PHNにならないためにはどうしたらよいでしょうか? 加藤先生: 帯状疱疹やPHNの発症を予防するためには、ワクチンの接種が非常に有効です。50歳以上の方には居住地の自治体から補助金が出るため、早めにワクチン接種を検討してください。 帯状疱疹になってしまった場合、現時点でPHNへの移行を予防する有効な手段は確立されていません。しかし、星状神経節ブロックなど自律神経系へのブロックは、局所の血流を増加させることで神経の再生を促進し、PHNの発症を予防する効果が期待されています。 また、発症早期から痛みをコントロールすることにより、PHNの症状を軽減する事が可能であると考えられています。そのため、帯状疱疹になった場合には、早めに専門的な治療が行える医療機関を受診し、薬物療法に加え神経ブロックなどを行うことをお勧めします。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 加藤先生: 帯状疱疹になった場合、痛みをできるだけ早くコントロールし、慢性痛のリスクを下げることが重要です。痛みを我慢せず、早めに神経ブロックなど専門的な治療が受けられる医療機関を受診してください。