怖くて近寄りがたい→個性的で面白い町として人気急上昇! “名古屋一”ディープな町「今池」の歩き方
◆個性派店主の店その3:料理もうまいライブハウス「得三」
ぶらぶらついでにもう1人、今池の“顔”役のところにも顔を出しておきます。ライブハウス「得三」(トクゾー)のオーナー、森田裕さんです。 得三はロック、ジャズ、ブルース、パンクなど多彩なジャンルの音楽ライブのほか、落語やサブカルチャーのトークイベント、果てはカラオケ大会まで、まさに今池らしい雑多なプログラムが夜な夜な繰り広げられる個性派ライブハウス。 また、イベントが終わった後の夜10時頃から“朝までやっている飲み屋”となり、しかも料理のクオリティーも高いのです。この店のオーナーであり、バンドマンでもあり、さらに商店街のまとめ役でもある森田さんに、今池という町の魅力を改めて聞いてみます。 「アウトローに優しい町、かな。俺よりも上の世代の人たち(森田さんは67歳)にもメジャーなものとか常識に対する反骨心みたいな気質が残っているんだよね。俺は10代の頃から今池に入り浸って、そのうちにここに居着いちゃったんだけど、そんなよそから来たはみだし者も受け入れてくれる。 1989年に始まった今池まつりも、もともと地元出身じゃない連中が、地元の人たちを誘って一緒に始めて、それが今じゃあ今池中が一つにまとまる祭りになっているからね」
◆今池の雑多な魅力を象徴する「今池まつり」
個性的かつ魅力的な店へ行き、今池という町に魅せられたら、ぜひ足を運んでもらいたいのが、森田さんの話にも出てきた今池まつりです。 開催は例年9月中旬。2024年で第34回と比較的新しい祭りですが、これが路上ライブありプロレスありリング上結婚式ありフリマあり大道芸ありの、まさに今池らしい混沌たる熱気が町の至る所で炸裂する催しなのです。 町のイメージが「ちょっと怖い町」から「カオスで面白い町」へと変わったのもこのまつりがあったからこそ。近年増えている新しい店の中には、まつりに遊びに来たのをきっかけに、次は商店街の一員としてまつりに参加したいと、この地で出店するケースも少なくないといいます。 今池まつりをより楽しむことを目標に普段からいろんな店に顔を出す、今池まつりをきっかけに繰り返し食べ歩き、飲み歩きを楽しむ。順番はどちらでも構わないので、このエリアをより深く知り、楽しみ、愛するには今池まつりは欠かせません。 これを一つの目標や節目として、今池ハードコアの一員になってみてはいかがでしょうか? ※記事初出時、本文に誤りがありました。お詫びして訂正いたします(12月18日15時00分:編集部追記)
▼大竹 敏之プロフィール
愛知県常滑市出身。大学卒業後、名古屋の出版社に勤務し、その後フリーライターとして独立。雑誌や新聞、Webメディアなどに名古屋の情報を発信する。著書は『間違いだらけの名古屋めし』(ベストセラーズ)『名古屋の喫茶店 完全版』(リベラル社)など多数。
大竹 敏之(名古屋ガイド)