星野リゾートが北米進出、「温泉旅館」の開業決定、ターゲットは北米在住者、季節感ある日本らしいサービスで
星野リゾートは2028年、米ニューヨーク州に温泉旅館を開業する。場所は、マンハッタンから車で約3.5時間の歴史ある温泉地「Sharon Springs(シャロン・スプリングス)」。日本のホテル会社による温泉旅館の開業は、米国では初めて。 シャロン・スプリングスは、古くからアメリカ先住民が鉱泉を利用し、1800年代中盤にはリゾート地として開発されて賑わいをみせていた。しかし、1900年代に入って航空機での旅行が盛んになると同時に観光地として衰退。活気を失って久しい温泉地に、日本文化の代表である「温泉旅館」を開業する。 現段階で、同社が展開する「星のや」などの既存ブランドの名称を冠するかは未定。日本の温泉旅館を訴求できる名称を検討している。宿泊客のターゲットは、日本から訪れる旅行者ではなく、北米在住の可処分所得の高い層。ニューヨーク、ボストンから車で訪れ、2~3泊の滞在をしてもらいたい考えだ。
決め手は「気候」、季節感ある日本らしいサービスを
2024年10月17日に開催されたプレス発表会では、同社代表の星野佳路氏が初進出の地をシャロン・スプリングスとした理由を説明した。決め手は「気候」だという。 同社では、かねてから温泉旅館での北米進出を目指して候補地を選定してきたが、こだわってきたのは泉質や湯量。そして、最終的にシャロン・スプリングスの気候が日本と似ていることから、季節感のある日本らしいサービスが提供できると考えた。「冬には雪見の露天風呂、秋には紅葉、春は新緑、夏はかき氷が提供できる」(星野代表)。 また、人口が集中する大都市マンハッタンから3時間半という距離も「日帰りにならない適度な位置だった」という。 新たに開業する温泉旅館のブランドや詳細は、現在調整をしているところだが、星野代表は「客室数77室の『星のや軽井沢』に近いイメージと考えている」。日本のホテル会社が米国に進出する時には、日本文化を反映したコンセプトが期待されるとの考えのもと「温泉旅館をしっかりつくっていきたい」と力を込めた。
トラベルボイス編集部