貯蓄「老後2000万円」じゃ足りないのか…必要な老後資金をケース別にシミュレーション
【ケース別】必要となる「老後資金」をシミュレーション
老後に必要となるお金は、どんな生活を送るかによって、大きく変わります。 現役時代に比べて、倹約を心がけ無駄なく生活を送れば、2000万円も貯蓄がなくても良いケースもあるでしょう。 一方で、老後は旅行に出かけたい、趣味を楽しみたい、食事やレジャーなど生活水準を落としたくないと考えている場合、毎月必要となる金額が増えるので2000万円では足らなくなるかもしれません。 具体的に必要となる老後資金を計算してみましょう。必要になる数字は「老後の毎月の予定支出額」と「もらえる予定の毎月の年金額」です。 今回は、夫婦の年金予定額を20万円と仮で設定してシミュレーションしてみました。 ●<ケース1. 老後も生活水準を落としたくない50歳代夫婦> ・毎月の予定支出:35万円 ・年金予定額:20万円 ・必要な貯蓄額:5400万円 この場合、老後毎月15万円の赤字となるため貯蓄を取り崩す必要があります。 月15万円を取り崩すケースでは、30年間で5400万円(15万円×12ヶ月×30年)の貯蓄が必要です。 ●<ケース2. 老後は生活水準を落とす50歳代夫婦> ・毎月の予定支出:22万円 ・年金予定額:20万円 ・必要な貯蓄額:720万円 この場合、老後毎月2万円の赤字となります。 月2万円を取り崩すケースでは、30年間で720万円(2万円×12ヶ月×30年)の貯蓄が必要です。 仕事を退職するまでに、2000万円の貯蓄をするというのは、1つの目安となっています。 老後に必要となるお金は人によって異なるので、自分たちが貯蓄すべき金額を事前に計算しておくようにしましょう。 さらに、覚えておきたいのが、物価高(インフレ)についてです。次の章で詳しく解説します。
物価高と「老後のための貯蓄」との関係性
ここ数年で円安や物価高が進み、食費や電気代など生活コストが少しずつ上がっています。 自分たちが老後を迎える時、さらに物価高が進んでいれば、2000万円よりもお金が必要になる可能性があるといえるでしょう。 たとえば、2024年6月の物価を見てみると、総合指数は2020年を100として108.2となっています。 単純に考えて2020年から約4年の間に、8.2%も物価が上がったことがわかるでしょう。 2020年に毎月30万円で生活していた人は、同じ生活を送るために、今は2万4000円多くお金が必要となるのです。 老後資金を貯蓄する上では、このインフレリスクを考慮しなければなりません。 単に貯蓄をするのではなく、物価の上昇と同じペースで貯蓄を増やしていきましょう。 おすすめなのは、資産運用を行うこと。資産運用を行っていれば、物価の上昇に応じて商品価格などの値上がりも十分に考えられ、インフレのリスクに対応できる可能性が高まります。 老後のための貯蓄は、ただお金を貯めるのではなく長期的な物価高を考慮した貯蓄を行うようにしましょう。