不登校者数が過去最多の34万人を突破、共働きで忙しいのに子どもが不登校になったらどうする?
「登校刺激」のプレッシャーに注意
共働きで忙しい沢木夫妻にとって、小学校入学と同時に始まった「行きしぶり」は生活にかかわる。これは不登校の子どもをもつ親の多くにある悩みだろう。 子どもに行きしぶりがある場合、不登校支援の現場では、子どもが何に困っているのかを理解して支えるのと同時に、「登校刺激」は避けることがすすめられる。 「登校刺激」とは、親が登校をうながすプレッシャーをかけること。刺激を減らすため、思い切って学校を休ませたり、登校の話を担当する親を決めたり、筆談にしたり、学校の話は本人がするまでしないなど。 工夫することで、エネルギーを回復したり、緊張やストレスを緩和できることがわかっていったと、沢木さん。どうしても在籍している学級が合わない場合は、子どもに合った学びの場を探してゆくことになる。 「学校に行かない」という選択肢をとる子どもが少なかった時代とはちがい、いまは民間のフリースクールやオルタナティブスクールなどが増えている。だが、私立学校並みの学費がかかり、身近にはないことも多いのが実情だ。 身近に利用できる公的制度には、不登校支援員、通級指導、特別支援学級、教育支援センターや学びの多様化学校、放課後等デイサービス、校内サポートルームなどがある。「毎日いられる居場所はないことも多く、支援はまだまだ手薄です」と沢木さんは言う。
学校の不登校支援は声をあげないと利用できない?
本書では、不登校支援にかかわるさまざまな制度も紹介。沢木さん夫婦が学校側と進めた話し合いの様子も紹介されている。 「日本の福祉や行政サービスは、申し出ないと支援が受けられないとよく言われます。学校も同じで、『校長先生や教頭先生といきなり話すなんて気が引ける』と思う必要はありません。困っていたら保護者から積極的に話すことをおすすめします」と沢木さん。 むすこさんは相性のよかった個人運営のデイスクールに通いながら、不登校支援員が対応できる週1日だけ学校に登校。一家で「頼れるものは、すべて頼る」を実践し、2年生から特別支援学級に転籍すると、先生たちの手厚い支援も受けられるようになり、むすこさんの日々はふたたび輝き出した。