松坂桃李、役者の矜持「マックス出しても作品できれば反省」
松坂桃李が役者として新境地に挑む。敵役は鈴木亮平。作品は2018年公開にされ話題を呼んだ映画「孤狼の血」の続編だ。ただし作品名はPart2ではなく「孤狼の血 LEVEL2」(20日公開)。前作は昭和63年暴力団対策法成立直前の広島を舞台に役所広司が主演。松坂は役所演じる刑事・大上章吾の常軌を逸した捜査に困惑しながらバディを組む若手刑事・日岡秀一役を好演した。今回はその日岡が主人公。前作同様に白石和彌監督がメガホンを取るがよりハードさとエンターテインメント性が強調された作品となっている。劇中での日岡と“最凶最悪のモンスター”上林成浩(鈴木)との対決はもとより二人の役者としての対決も大きな見どころだ。松坂に聞いた。 【写真特集】3年ぶり日岡役に挑んだ松坂桃李
作品では敵役の鈴木亮平 役者としては戦友のように
「“前作を超えるぞ”という意気込みを含めてのLEVEL2だと思っています。続編ですがカラーが若干違います。昭和の香り漂う印象が濃かった前作と比べ、その香りも残しつつより多くの人に楽しんでもらえるエンターテインメント的な要素を強めた感じです。アクションも増えました」 続編だが独立した話になっておりLEVEL2を観てから前作を観る形でも楽しめそうだ。今作では鈴木演じる上林との対決が大きな見どころだが、鈴木のメーターが振り切れたような迫真の演技に松坂も勝るとも劣らない鬼気迫る芝居で臨んでいる。 「僕と亮平さんが対峙する場面は3日かけてお互いへろへろになりながら撮影したのですが、最終的には同志みたいな感じで……敵役ではあるけれども役者としては戦友のような感じで撮影を終えることができました」 前作では役所という実力派俳優が演じた破天荒な刑事・大上の色が非常に濃かったぶん、その後を引き継ぐ形となった松坂のプレッシャーは大きかったのではないか。 「コロナ禍が長引く状況もあって現場に臨む皆さんの熱量もすごく、白石監督はじめ全員が1つになって前作を超えるという意気込みでした。だから『1人で背負わなくても大丈夫だぞ』みたいな空気を受け取って。皆さんのお力をお借りするような気持ちに近かったかもしれません」 共演陣は鈴木のほか村上虹郎、西野七瀬、音尾琢真、早乙女太一、渋川清彦、毎熊克哉、筧美和子、青柳翔、斎藤 工、中村梅雀、滝藤賢一、吉田鋼太郎らそうそうたる顔ぶれだ。 「僕の中では前作も含めてそれまでやったことがないテイストの作品で、今後の役者人生において血肉となるようなものかなと思っています」 きっぱりとそう話す。 「前作から3年後という設定で、その3年間は台本には書かれていないんですよね。日岡として前作の終わり方から考えたとき大上さんの遺志を受け継いでいるようで、どこか大上さんのやり方に反発をしているというか。でもやっぱり自分の中で恩師でもあり父でもあるような人でもある。いろいろな意味でたとえるなら大上さんの呪いにかかっているような、そんな呪縛の3年間でもあったのかなと考えたりしました」