【89歳の美容家・小林照子さんの人生、そして贈る言葉⑩】56歳で起業。お金をいただくのにふさわしいプロになれ!
人には誰にもやるべき「天命」がある!
「一方で、私にもお金を抜きにして行ってきた活動があります。それはエンゼルメイクです。エンゼルメイクは亡くなった人に施すメイクのことです。この活動では、看護師さんに亡くなった方へのメイク方法を教えるとともに、必要なメイク道具一式を詰めたBOXを提供しました。写真はメイクの実演風景です。 道具調達にはさまざまな支援をいただきました。最初は無料で行っていましたが、その後は有料のセミナーになったのですが、看護師さんたちは全国から来てくださいました。エンゼルメイクの活動は、多くの看護師さんや病院に理解されて普及していきました。 私は誰にでも『天命』、人生でやるべきことがあると思っています。なぜ、ここに生まれてきたのか? お世話になっている地球に、日本に、次世代の人たちに何を残すのか? 私は70歳を過ぎた頃から、こうした天命について考えるようになりました。そして、私の最後の仕事として、2019年、84歳のときに『アマテラス アカデミア(ATA)』という私塾を開設しました」 これは、現場力を持った、未来の女性リーダーを育てることが目的だと小林さん。 「1年15人×10年で、2030年までに150人を育成するのが目的です。1年間の講座を通して、自分の天命や使命を知り、美的センスを身につけ、女性同士の連帯力を養います。 今までに受講した人は、医師、看護師、鍼灸師、教師、公認会計士、農業、Webデザイナーなど、職業はさまざま。応募資格は専門性を持っている25~39歳の女性です。毎年40~50人の応募者がありますが、その中から選考のうえ15人に絞ります。受講料は無料です。 皆さん内省して、自分の与えられた役割や適性に気づき、自分の道を切り開いています。塾生の中には、ネイリストから市議会議員になって活躍している人もいます。 自分は何をするために生まれてきたのか? 自分のそれまでに歩んだ道を振り返るとだんだん見えてきます。今まで何をしているときに楽しかったか? 誇らしいと思ったことは? 生きがいを感じることは? こうした問いに、なかにはこれまでやってきたこととは違う、昔の夢を思い出すかもしれません。そうしたことを一度きちんと整理して、自分が心から好きで楽しいと思うことを仕事やライフワークにし、世の中にお返しするといいと思います」