【89歳の美容家・小林照子さんの人生、そして贈る言葉⑩】56歳で起業。お金をいただくのにふさわしいプロになれ!
私が目指すのは「アート&ビジネス」。お金をもらうプロを育成することです
「私はプロを育成するうえで、いつも言っているのが、お金を堂々ともらえるプロになってくださいということです。 日本人はお金の話をするのは『はしたないこと』と思う人が多いようです。なかには、『お金のためにやっているのではない』と、それがさもよいことのように口にする人もいます。 働くことは自分の価値や技術をお金に換えるということです。プロのスキルを持っているのなら、それに見合う値段があるはず。もちろん最初からボランティアで参加している場合は例外です。 『交通費とお弁当が出れば満足』といった、中途半端なプロになってはいけません。そのためには、自分の価値を堂々と言えるような、本当のプロのスキルを身につけなくてはなりません。一度、その技術を習得したあとも、常に知識と技術を更新し続けることが必要です。 『この人に仕事を頼んでよかった』と言ってもらえるプロになってほしい、そんな思いでスクールを運営しています。 そして、1997年、62歳でリバイタライズサロン『クリーム』を設立。これは『美・ファイン研究所』の長年の経験を結晶化させたリラクゼーションサロンで、実際の空気感、肌感、声を聞く現場としての役割もあります。オープン以来、高い技術とホスピタリティで芸能人や著名人の方にも愛されています」
そして、2010年、75歳のときに「青山ビューティ学院高等部東京校」を開校。 「ここでは、トータルビューティの技術、高校卒業資格、それに希望者には美容師免許の3つが取得できます。現代の子どもは早熟化していて、オリンピックでも15歳でメダルを取る時代です。メイクや美容にいち早く興味を持つ若い才能を育てています。 若い人と接していると、時代の違いを感じます。私の若い頃の憧れは欧米の文化が主流でしたが、今の高校生の興味は、メイクもスキンケアも日本と韓国です。アジアの時代であることを実感します。 年齢を重ねても、常に時代をとらえて先取りする感性はとても大事です。『自分が若い頃はこうだった』と自分の価値感を押しつけていると、『ふと振り返ったら誰もついてきていない』なんてことになりかねません」