女優・黒田福美が語る“正体不明の病”と闘い続けた10年間 「一歩一歩を踏みしめるたび痛みに苛まれる生活は本当につらいものでした」
病名は判明するも原因も治療法も不明
発症を繰り返すものの、放っておくと治る正体不明の奇病――。命にはかかわらないものの、黒田にとって“どこかしらが痛い状態”が当たり前になった。このまま一生、痛みとともに生きていくのか…。 そう思っていた矢先の2021年、長く診察を受けていた医師から、似た症状について書かれた論文を見つけたと連絡を受けた。それが、「骨髄浮腫症候群」だった。 「原因や治療法はまだわかっていませんが、やはり自然に治るのが特徴のようです。症状が似た骨壊死と間違われることがあるようなので、すぐに手術に踏み切らず、様子を見てよかったと改めて思いました」 根本治療ではないものの、骨粗しょう症薬の服用で再発が抑えられることがわかり、この3年ほどは病から解放されている。 病名の判明は、黒田にこの上ない安堵感を与えた。 「一歩一歩を踏みしめるたび痛みに苛まれる生活は本当につらいものでしたが、伴走してくださった医師や理学療法士の先生のおかげで、この病気とのつきあい方がつかめてきましたし、病名がわかったことで、適切な指導が受けられるようになりました。いまは元気に歩ける喜びを享受しつつ、せっかく珍しい病気にかかったのだから、多くの人にこの病気について知ってもらい、同じように悩む人の助けになりたいと思っています。 専門医の間でもまだ知られていないので、骨髄浮腫症候群という病気があることを多くの医師に知っていただきたいし、骨壊死が疑われた場合、まずは経過観察をすることで、早まった置換手術などが行われないことを願っています」 ◆女優・黒田福美 くろだ・ふくみ/1956年東京都生まれ。1977年ドラマ『夫婦ようそろ』(TBS系)でデビュー。以降、女優、エッセイスト、翻訳家として活躍。芸能界きっての韓国通として知られ、1980年代から、放送、著作物、講演などを通して韓国理解に努めてきた。2011年には韓国政府より「修交勲章興仁章」を受勲。韓国観光名誉広報大使ほか、各地の広報大使を務める。 取材・文/土田由佳 ※女性セブン2024年12月19日号