海外メディアはジャンプ”2冠”を逃すも小林陵侑の銀メダルを賞賛「欧州覇権を脅かす」「北京五輪で輝いているスターの1人」
北京五輪のジャンプ男子個人ラージヒル決勝が12日、国家ジャンプセンターで行われ、ノーマルヒルで金メダルを獲得していた小林陵侑(25、土屋ホーム)が銀メダルを獲得した。2回の合計で勝敗が争われ、小林は1回目に最長不倒の142mを飛びトップで2回目に挑んだが、138mで、2回目に140mの大ジャンプを見せたマリウス・リンビク(23、ノルウェー)に、わずか3.3ポイント及ばず、悲願の2冠達成はならなかった。だが、海外メディアは、“ジャンプ王国“の欧州勢に対抗した“日の丸ジャンパー“の挑戦を称えた。
「日本からやってきた25歳の天才」
1回目に142mの最長不倒の大ジャンプを見せてトップに立ち、2回目を最終ジャンパーとして迎えた小林にプレッシャーがかかった。2位につけていたリンビクが目の前で140mの大ジャンプを見せたのだ。 「さすがに緊張した」 小林の踏み切りは、やや遅れ、空中で横風を受けたこともあり「空中でバタついた」(小林)。それでも距離を伸ばす。だが、わずかに2m及ばず138m。「ウインドファクター」と呼ばれる風による補正ポイントで、より厳しい追い風条件で飛んでいたリンビクに小林の0.6点を超える3.5点が加点されたこともあり、3.3点差がつき、小林は、惜しくも銀メダル。距離に換算すれば、わずか1.83m差で、史上4人目の快挙となるノーマルヒル、ラージヒルの2冠達成はならなかった。 小林は、「2ついいジャンプができた嬉しい気持ちと、悔しい気持ち」と、複雑な心境を明かしながらも、「普段のワールドカップで見れないくらいの熱い戦いがあった」と、ハイレベルな戦いに納得していた。 それでも海外メディアは小林の奮闘を評価した。 「五輪のラージヒルで欧州のスキージャンプの覇権が脅かされた」との見出しを取り、小林の銀メダルを称えたのは、米ワシントンポスト紙だ。 ノーマルヒルで金メダルを獲得していた小林の2冠挑戦について、「欧州以外のどこかからやって来たある選手(小林)が、男子の個人競技で2冠を決めようとしていた」と書き出して、ラージヒルの激しい戦いをリポートした。 小林の1本目の大ジャンプを「彼はただの選手ではなかった。北京五輪で輝いているスターの1人で、日本の北部からやって来た堂々とした25歳の天才だった。小林はすでにノーマルヒル個人で勝利を収めていた。彼は1924年にフランスのシャモニーで始まった冬季五輪で最も古い競技の1つである男子のラージヒル個人で、2本のうち1回目のジャンプでかなりのリードを奪った。小林は宇宙船が浮かんでいるように見える素晴らしい競技施設の下で、誰よりも最高のジャンプを見せてリードを奪い、142m地点で着地したときにはカリスマ性が光を放ち、その思い切りのよさに価値を見出したように見えた。彼が能力を瞬かせ日本のメディアに『僕が五輪にいた魔物かもしれない』とユーモアを交えて語ったノーマルヒルの金メダル獲得時と同じようだった」と表現した。