フォルクスワーゲン・ティグアン 詳細データテスト おすすめは実用グレード デジタル化はほどほどに
快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆
オプション設定される15段階のDCCプロ・アダプティブダンパーは、ティグアンの乗り心地とハンドリングにかなり広い調整幅を加えることができたように感じられるが、それをより実感するなら、ホイール径の小さい下位グレードを選ぶほうがいい。 このクルマの最上位のアダプティブサスペンションテクノロジーは、ライフやマッチといった18インチタイヤ装着グレードには容易にフィットする。しかし、20インチホイールに40タイヤを履くR-ラインでは、路面に鋭い突起があると突き上げや衝撃音が出てしまう。プリセットのコンフォートモードより路面に追従するしなやかなセッティングも選べるが、実際には衝撃吸収も路面を問わない走りの万能性も、決して期待したレベルには達しない。 20インチホイールとワイドタイヤが、キャビンの静粛性に悪影響を与えているのも間違いない。80km/h巡航での室内騒音は66dBAで、2022年に計測したBMW X1 xドライブ23i Mスポーツと同等。キア・スポーテージHEVは、これらより明らかに静かだった。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
3万4000ポンド(約680万円)ほどからはじまる価格帯だが。トップグレードのe-ハイブリッドは4万8000ポンド(約960万円)を超える。コンパクトSUVとしては、明らかにプレミアムな価格帯を狙っている。もっとも、予想される残価も高い。 たしかに、プレミアムブランドならではというような装備水準ではないが、そこはプレミアムブランドと量販ブランドの典型的なパラドックス。量販ブランドは、車両価格に込みとなる装備を削りがちだ。 中間グレードのマッチを選ぶと、前席シートヒーターやフル装備のADAS、パノラミックサンルーフ、アダプティブLEDヘッドライト、ハーマンカードン・プレミアムオーディオ、そしてフォルクスワーゲンのキーとなるインフォテインメントシステムや、ダイナミックドライビングサスペンションとステアリングのパッケージは有償となる。しかも、そのほとんどは、最上位のR-ラインでもオプション扱いだ。 テスト車の平均燃費は、動力テスト込みで14.9km/L、ツーリングだけを抜き出せば15.9km/L。マイルドハイブリッド技術が市街地燃費の改善に大きく寄与しているが、2024年現在の基準で平均的な経済性のファミリーカーを期待すると裏切られる。