フォルクスワーゲン・ティグアン 詳細データテスト おすすめは実用グレード デジタル化はほどほどに
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
■インフォテインメント 新型ティグアンは、パサートと同じインフォテインメントシステムを得た。ベースとなるソフトウェアは、フォルクスワーゲン最新世代のMIB4だ。 センターディスプレイは13インチ弱が標準装備で、15インチにアップグレードすると使い勝手のいいヘッドアップディスプレイもついてくる。 ホーム画面の調整についてはかなり追求しており、重要な機能へのアクセス性は先代より向上。大画面システムにはスペースに余裕が生まれ、画面の余白に散らばったメニューのショートカットが使いやすくなっている。どのパーツを並べるかも選択できるので、使い勝手は大幅に改善された。 この手のシステムには、やはり実体カーソルコントローラーがあるほうがいいとわれわれは考える。エアコンパネルも、独立した実体式のほうが扱いやすい。フォルクスワーゲンのスライダーパネルは、バックライト追加などの改善が施されても使いにくい。しかし、腕を伸ばさないと操作できないシステムとしては、いま市販されている中では上出来の部類に入る。 ■燈火類 テスト車には、マトリックスLEDヘッドライトのIQライトが装備。照射範囲は良好で、自動減光は素早い。ただし、アニメーション投影機能はあまり役には立っていなかった。 ■ステアリングとペダル ペダル配置は、幅広いステアリングコラムの調整範囲と相まって、快適でサポートに優れたドライビングポジションに貢献する。
操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆
フォルクスワーゲンはティグアンのサスペンションを大幅に改善したとしており、それに関連する乗り心地やハンドリング、ボディコントロールはわれわれの関心を引くところだ。しかし、ゴルフGTIの最新モデルで実証されたアダプティブダンパーのDCCプロを装備してさえ、使い方によって装備内容をかなり慎重に限定するべきクルマである。 テスト車はR-ライン仕様で、20インチホイールに255幅のタイヤを履く。また、アダプティブシャシーコントロールを備えるダイナミックドライビングパッケージも装備するので、プログレッシブステアリングが加わり、センターからの切りはじめがクイックになる。 ガッチリと路面を捉え、ボディ挙動をきっちりコントロールし、背の高いクルマとしてはキレのいいターンインをみせる。そして、全体的には重量を感じさせずに、速めのコーナリングを、もっと低くて軽いクルマのように整然と安定してこなすSUVだ。 断固として鈍いが、安心感のある前輪駆動シャシーのバランスは、あまり魅力的なプロセスではないにせよ、素早く走らせるのが楽だ。プログレッシブステアリングはアシスト効きすぎで、フィルターのかかったようなフィーリングだが、手応えは一定している。電子制御スタビリティコントロールは、オフモードにしても完全にはカットできないが、めったに介入してこない。ただし、この場合はグリップがパフォーマンスを大きく凌いでいるという事情もある。 フォルクスワーゲンにおける中間レベルのSUVに、エンスージアストを喜ばせるような走りは期待しないだろうし、たしかにこれはそういうクルマである。しかし、精密さやスタビリティ、冷静でゆるぎない沈着なハンドリングは折り紙付きだ。