ゆとり先生の教育提言(5) 分からないものは「怖い」?
「分からないものは怖い」
大きくて重いテーマの扉を開いた高校生ができること、それは立花さんの言葉を受け止め、自分たちなりの理解を自分たちなりの言葉に紡ぐこと。 大和さんのアドバイスは後輩高校生に対し「私たちは何のために立花さんの証言を世の中に伝え続ける のか」という基本に立ち返り、考えて行くことの重要性に気付かせてくれました。その後、高校生は、「自分たちの世代がいなくなれば差別はなくなる」と言った立花さんの言葉は「間違っていると思う」と考えるようになり、高校生なりの「差別の構造」を考えました。そのときに出た結論が「分からないものは怖い」 人間の心は弱いもので、解決方法の見つからない分からないものに対して「恐れ」の感情を抱きます。治療法が不明だった頃のハンセン病は正にその状態でした。「分からないものは怖い」という感情がある限り、ハンセン病がこの世から無くなったとしても、一事象がこの世から消えただけに過ぎず、問題の根本解決にはなりません。 コロナ禍で吹き荒れる、患者や医療関係者に対する差別的言動・行動が起こる原因を考えるとき、立花さんへの継続的な取材・交流のことが今でもはっきりと目に浮かびます。 コロナ禍が過ぎた後、「あの頃はこんな差別もあったんだなぁ」という思い出で終わらせるのではなく、「分からないものは怖い」という人間の弱さの歴史として、また未知なる恐怖が表出したときの教訓にしていきたいものです。