韓国大統領は「過激派YouTuber」に影響された可能性…突如起きた「戒厳令」で日本が直面する最悪のシナリオ
■戒厳令と過激派ユーチューバーとの関係 尹錫悦大統領に「非常戒厳」を建議したのは金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官(当時)だったが、どう考えても悪手としか言いようがない手段を尹大統領が選んだ理由ははっきりしない。 尹大統領は「非常戒厳」を宣言した談話の中で、野党が「内乱を画策する明らかな反国家的行為」を行っていると断じた上で、「北朝鮮の共産主義勢力の脅威から韓国を守り……悪徳な従北反国家勢力を一挙に粛清」すると言葉を強めていた。野党は北朝鮮の影響下にあり、このままでは国家が「体制転覆」されてしまうという認識である。 こうした過剰とも言える野党への敵視は、右派色の強いYouTubeチャンネルに尹大統領が影響を受けた結果だとメディアが一斉に報じ始めた。韓国では、既存のマスメディアへの不信から、YouTubeを活用して独自のチャンネルを持つ政治評論家などが多く存在する。チャンネル登録者数が100万人近いユーチューバーもいて、ビジネスという側面もあるのだろう。 ■陰謀論に染まっていた可能性 過激で、陰謀論を展開するようなものも少なくなく、4月の国会議員総選挙で野党が大勝すると、これらのユーチューバーらはそろって不正選挙を主張していた。そうした陰謀論に、あろうことか、尹大統領が染まっていたと指摘されているのである。 今回、戒厳軍は国会とともに、中央選挙管理委員会の庁舎にも出動していたが、金龍顕国防部長官は、不正選挙疑惑の捜査の可否を判断するためだったと説明している。2022年5月の大統領就任式では、右派系の人気ユーチューバーも招待されていた。 大統領就任演説で尹錫悦氏は、「自由と人権の価値に基づく普遍的な国際規範を積極的に支持」するとともに、「グローバルリーダー国家」として国際社会での役割を担っていく意欲を明らかにしていた。 就任直後には、歴代大統領が居住し、執務を行ってきた大統領府を別の場所に移し、「帝王的大統領」からの決別を国民に約束した。その尹錫悦大統領は任期半ばで視野狭窄としか言いようがない情勢判断に陥り、国際規範にまったくそぐわない戒厳令を独裁者のごとく振り回したということになる。