「気楽な記事がたくさんあって楽しいのに」今や夕刊が読めるのは都市部だけ…新聞の夕刊がなくなる日
夕刊の発行部数は、20年間で4分の1に激減!
東京新聞は’24年8月をもって、都内23区を除く全ての地域での夕刊の配達・即売を終了した。 【閲覧注意】「遺体を塩コショウで味付け」「局部を水洗いして保管」…昭和史に残る残虐&怪事件3選 五大全国紙も夕刊を配達しないエリアを拡大させるなか、地方紙に至っては、もはや大半が夕刊を廃止している。新聞離れが取り沙汰される昨今、夕刊の販売縮小は新聞消滅の前兆なのだろうか。毎日新聞OBの高尾義彦さんに、現状を聞いた。 ◆朝刊とセットでも値段は変わらないのに…… 新聞というのは朝夕刊のセットで成立するものと思っていたが、朝刊のみを購読する人は、かなり前から多かったようだ。 「日本新聞協会が毎年出している発行部数のデータを見ると、’00年で全国の新聞購読部数は約5300万部。そのうち、朝刊の単独部数は3300万で、夕刊とセットでとっているのは1800万くらいです。 ここからも、夕刊を読まない読者は昔からいたということがわかります」(高尾義彦さん/以下同) ちなみに昨年のデータでは、朝夕刊のセット部数は445万と激減している。セットでとっても朝刊だけをとっても、値段はさほど変わらない。それでも夕刊までは読めないという人は多く、その傾向が加速してきたようだ。 ◆興味ある記事が読めたらそれでいい…… 今は新聞を読まなくても、スマホが勝手に最新のニュースを伝えてくれる。画面に流れてくる見出しを斜め読みし、興味があればクリック。いつでも最新のニュースを読むことができる。 「大学や高校で講演を頼まれるたびに、 “新聞をとっている人”と言って手をあげてもらうのですが、20年くらい前からほとんどいなくなりました。ネットの台頭もあるでしょうが、新聞の一覧性に魅力を感じない人は増えているんだと思います。 読んだ記事の隣りに何かの記事があって、なんとなくそっちにも興味がいってというような広がりがなくなり、ものの考え方も自分の好きなテーマなど、狭い領域だけに偏る傾向が強くなっている。新聞の部数減には、それも影響している気がします」 スマホで自分の関心のあるニュースだけを拾い読みする。果たしてそれは「タイパがいい」ということになるのだろうか。 ◆独自の魅力を……試行錯誤を繰り返してきた「夕刊」 新聞の購読者には、夕刊を楽しみにしている人も多い。 政治や経済の記事が中心の朝刊には取り上げられないような、雑学めいたニュース。個性的な書き手によるコラムやエッセイ。現在の夕刊には気軽に読める記事がたくさん掲載されているが、ほんの10年ほど前までは夕刊も朝刊と同様、ニュース中心の紙面づくりをしていたという。