御嶽山噴火から9年、規制緩和された「八丁ダルミ」を歩く 自然の魅力にはリスクも
御嶽山噴火から9年、規制緩和された「八丁ダルミ」を歩く 自然の魅力にはリスクも
死者・行方不明者が63人という戦後最悪の火山災害となった御嶽山(長野・岐阜県境、3067メートル)の噴火から27日で9年となる。被害の集中した山頂付近の登山道「八丁ダルミ」が今シーズン、規制緩和されて一般の登山者も立ち入れるようになった。火山活動は小康状態で、鋼鉄製のシェルターが設置されるなど安全対策は進んだものの、活火山のリスクがあることは忘れないように呼び掛けられている。
草木のない登山道を噴石が襲った
9年前は、八丁ダルミから数百メートル西側の地獄谷火口が水蒸気噴火。高さ7000メートル以上の噴煙が上がるとともに、大小の噴石が噴き出した。当日は好天に恵まれた週末で、ちょうど正午前だったことから、山頂付近には大勢の登山客がいた。 八丁ダルミを実際に歩いてみると、草木はほとんどなく、赤茶けた砂と石が広がっているだけ。噴火に遭遇した登山者は身を隠す場所を見つけられず、噴石の直撃を受けたとされる状況を実感できた。
観測体制やシェルター設置などの整備は進む
噴火以来、立ち入りが規制されていた八丁ダルミには地元自治体の一つである王滝村が鋼鉄製のシェルター2基を設置。国や県、大学機関も観測機器を増やし、噴火の予兆を見逃さない体制作りを図る。山岳関係者らも「安全パトロール隊」として巡回を続けている。 八丁ダルミを撮影した20日は昼過ぎまで比較的天候が良く、8合目付近では青空に緑や茶色の山肌が映える絶景が見られた。しかし次第に風が強くなり、八丁ダルミに入って1つ目のシェルターを確認した後は白いガスで先がまったく見えず、頂上までの登山は断念せざるを得なかった。 山小屋関係者は「自然は目まぐるしく変わるのが魅力である一方、リスクを伴うことを忘れないでほしい」と話していた。 気象庁によれば26日現在、御嶽山の噴火警戒レベルは5段階で最も低い「1」だが、「活火山であることに留意」するよう呼び掛けられている。今シーズンの八丁ダルミを含めた登山道の規制緩和は10月11日午後2時まで。 (関口威人/nameken)