【天皇賞秋・レース回顧】ドウデュースの良さを全て引き出した武豊 リバティアイランドは2つの敗因が…
[GⅠ天皇賞・秋=2024年10月27日(日曜)3歳上、東京競馬場・芝2000メートル] 【渡辺薫&柏木集保 私たちはこう見た】柏木 流れは遅くなるだろうと予想していましたが、前半59秒9は予想以上のスローペースでした。 渡辺 昨年の勝ち時計が速すぎただけで、1分57秒3は例年通り、GⅠにふさわしいレベルといっていいだろう。 柏木 そんな中、人気各馬は明暗を分ける結果になりましたね。 渡辺 まずは何より、勝ったドウデュースと武豊を褒めなくちゃいけない。後ろからの競馬に徹して、慌てることなく外を回した鞍上の好騎乗。それだけ馬の力を信頼している証拠でもあるし、今回のメンバーではひと味違ったな。 柏木 本当にその通りだと思います。去年は直前で急きょ乗り替わりになるアクシデントもあり、前半からリズムが良くなかった。そういった経験も糧に、今年は後ろからリズム重視で運んでいました。今日に関しては、この馬のいいところを全部引き出す勝利だったと思います。 渡辺 馬のデキもすごく良く映ったな~。パドックでは曳き手が笑顔で他の人と話してる姿が映し出されていた。この大舞台の中、平常心でいられるのは、それだけ馬の状態に自信があったということだろう。 柏木 中間ビシビシやって、最終追いはポリトラック。今までのGⅠ・3勝のときと同じパターンで来ていたのを見て、相当デキがいいんだろうなと感じていました。 渡辺 それで自信の◎ってわけか。さすがだな。 柏木 ありがとうございます。ただ、この後のジャパンC、有馬記念も、となると状態や距離的にまだ過信はできないと思います。 渡辺 そうか? オレは体調さえキープできれば主役といっていいと思うぞ。去年の有馬記念を勝っているし、距離も心配ないだろう。 柏木 このあたりはまた今後の状態を見て決めたいですね。2着のタスティエーラは久々の好走。立派だなと感じました。 渡辺 ダービー馬の貫禄は示したな。ただ、好位で競馬をして展開も絶好だった割に、3着馬とは半馬身差。まだ手放しでは褒められない。 柏木 結果的に2000メートルがベストなんでしょうね。3着のホウオウビスケッツもうまく逃げ粘りましたが、もう少し飛ばして後続を苦しくさせるような競馬のほうが良かったかもしれません。 渡辺 前半59秒9は異常なスローペースといってもいいぐらいだ。内容的にはオレの本命・ジャスティンパレスのほうが評価したいが、なんせもったいない競馬だったなぁ… 柏木 直線はスムーズにいかない場面がありましたね。正直、状態があまり良くないと思っていたので、よく来たと思います。 渡辺 勝ち馬と一緒に外を回すかと思っていたんだが。馬群の中に突っ込んでしまったのはいただけない。 柏木 このへんで人気馬にも触れておきましょう。8着レーベンスティールは2コーナーでキングズパレスにはじかれて、1つポジションを下げる不利がありました。 渡辺 外枠というのもあるし、同世代のタスティエーラと比べると成長という点で少し劣ったかもしれないな。 柏木 キャリア的にも今回が初めての強敵相手でしたから、しょうがないですね。問題は13着リバティアイランドですが… 渡辺 直線で抜けてきたときはやはり強いかと思ったが、そこからバタッと止まってしまったな。昨年のジャパンCと比べると馬体重はプラス22キロで、牝馬にしてはマッチョ過ぎる。休み明けで息もできていなかった。この2点がオレの考える敗因だ。 柏木 私も同感です。ただ、プラス馬体重とはいえ、まだ4歳牝馬。同じく1番人気の大幅馬体重増で敗れた先週のダノンデサイルもそうですが、まだ理想形は誰にも分からないですから。これが馬体増による敗戦なのかは、今後確かめていくことにしましょう。 渡辺 そうだな。こんなに負ける馬ではないはずだし、メンタル面が大丈夫なら巻き返してくれるだろう。
東スポ競馬編集部