【いくら効率化しても「最大の障壁」が…】100億かけても「DXの効果が全然出ない」3つの理由 いったい何が問題?専門家が解説
ローランド・ベルガー、KPMG FASなどでパートナーを務め、経営コンサルタントとして「40年の実績」を有し、「企業のDX支援」を多くてがけている大野隆司氏。 大野氏のところに届く「経営層からの相談内容」が、このところ大きく変化してきているという。「DXの効果が出ない」という悩みが目に見えて増えてきているというのだ。 なぜ、こうした悩みが生じているのか。大野氏が自身の経験や大手・中小企業の現状を交えながら「DXの効果が出ない3つの理由」について解説していく。 【ひと目でわかる】そもそも「DXって2種類ある」の、知っていますか?
前回記事(経営者は「DXへの過大期待」を今すぐ捨てるべきだ)で大企業・中小企業それぞれにおいてDX導入の効果が出ていない、あるいは導入が進んでいない現状に鑑み、DXを過大評価することに対する注意喚起を促しました。 ではなぜ、多くの企業においてDXの効果が出ないのでしょうか? DXを推進する企業においては、さまざまな業務効率化のツールの導入を進め、年間の利用料が数億円を超えているケースも多くあります。
経済産業省がいうところの「2025年の崖」に従順に従ったというわけでもないでしょうが、DXのテーマとして「基幹系システムの再構築」を掲げ、100億円を超える投資をしている企業も珍しくはありません。 彼らのほとんどは巨額投資の費用対効果を出すためにも業務効率化を掲げています。成果が得られなかったら大金をドブに捨てたに等しい話です。 なぜこのようなことが起こるのでしょうか? 今回は「巨額の投資をしても、DXの効果が出ない理由」を3つに分けて分析していきます。
DXの効果が出ない理由の1つ目は、「数字上のトリック」に惑わされてしまっている場合です。 ■【理由1】「〇人分削減」というトリック 仮に「100人の集団で、1人当たりの業務時間を1割削減できたとした場合、10人分の削減が可能」という効果査定となります。 しかし、「10人分の削減」は、「10人を削減できる」ことになるとは限りません。 これは「いままで100人でやっていた仕事を90人で回すことができるか」という問いにすることもできます。削減する10人が担当していた仕事を、残る90人で処理できるかと言い換えてもいいでしょう。