【いくら効率化しても「最大の障壁」が…】100億かけても「DXの効果が全然出ない」3つの理由 いったい何が問題?専門家が解説
そして、削減可能な人数を解雇できないのならば、コストは減りません。 となると経営者や株主の視点からは、「『守りのDX』の効果算定はまやかしではないか」となってしまうのです。 「守りのDX」に、コンサルタント報酬やデジタル系のツールなどの導入でそれなりの投資・コストをかけている場合には、なおさらです。 ちなみに、OECDのなかで日本の解雇しにくさは28位。統計上ではそれほど上位に位置していません。
しかし実際には、依然として日本企業では従業員を解雇することのハードルは高いままです。 安易に解雇という手段をとることが、賢い経営手法ではないことも間違いないでしょう。 とはいえ、投資やコストをかけた「守りのDX」を推進したものの、「机上の算定では効果が出ることになっていたけど、解雇できなかったため、ボトムラインはまったく変わりませんでした」では、いただけません。 このことを申し上げると「やっぱりそうですか……」といった反応をされる経営者の方も少なくありません。
経営者の中には、「解雇」という意思決定をあいまいにしたまま「守りのDX」を進めてしまった方、効果算定の数字の大きさに思わず飛びついてしまった方がいることも事実です。 一方で、「守りのDX」に取り組む前と後の環境の変化――たとえば、新型コロナウイルスの感染拡大や、定年延長などにより、解雇という手段がとりにくくなったという経営の方もいます。 意思決定をあいまいなまま進めてしまったにせよ、環境の変化にせよ、解雇できない結果として、経営者からは、
「解雇以外で、投資に見合うDXの効果を出す方法がわからない」 「浮いた従業員には、いったいどんな仕事を任せるのが適当でしょうか?」 というご相談が増えることになります。 ■【理由3】「『高付加価値の仕事』の定義」があいまい DXで浮いた従業員を再配置する場合、多くの経営者は解雇ではなく、「彼女ら・彼らにしかできない、より付加価値の高い仕事へシフトしてもらいたい」と考えます。 しかし、「その効果が見えてこない」というのもまた、多くの経営者の悩みとなっています。