「とんでもない天才がいる」北海道“ナゾの公立校”が『高校生クイズ』のダークホース? 伊沢拓司の開成高が優勝…クイズ史に残る「神回」ウラ話
北海道という「地理的な不利」も…?
一方で、この「技術を磨く」という作業は、普段から大きな大会や強豪同士の例会(※クイズサークル間で行われる定期の競技会)で戦いあっている関東・関西圏の高校と比べて、旭川東が圧倒的に不利な部分だった。チーム内での戦いだけではどうしても限界が来る。それでも近くに、同じレベルで競ってくれるような学校はないのだ。 そこで重綱が考えたのが、札幌に出ていくことだった。 「札幌にはいくつか北海道大のOBがやっている競技クイズの社会人サークルがあった。そのなかにだいぶ年代は上でしたけど、どうやらウチのOBがいるらしいという話を聞いて。それでSNSで探して、連絡を取って」 「外の風を入れたいんで、ちょっと遊びに来てくれませんか」という誘い文句から始まり、塩越と2人で札幌の例会に出かけることもあった。社会人プレイヤーの早押し速度に慣れることは、それまで対外試合のキャリアが少ない2人にとって、貴重な経験値となった。 「高校生なんで、金銭的に何回も札幌まで行けるわけじゃない。そのうち『申し訳ないですけど、旭川にご足労いただけないですか』って言って、社会人側に10人ぐらいで来てもらって(笑)。公民館を借りて、こちらでも例会のようなことをやるようになりました」 こうした重綱の行動力もあり、実戦機会も増えた。 結果的に、旭川東クイ研はメキメキと力を付けていった。 そうして暗中模索だった「競技クイズ」の世界で、少しずつ存在感を発揮し始めることになる。 <次回へつづく>
(「Number Ex」山崎ダイ = 文)
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