気象庁が予測発表を検討している「長周期地震動」ってどんな揺れ?
東日本大震災が発生した日、高層ビル内にいた人の中には、ゆっくりとした大きな揺れがなかなかおさまらなかったことを覚えている人も多いのではないだろうか。このように、数秒以上の周期の大きな揺れが分単位で続く地震動のことを、「長周期地震動」と呼んでいる。気象庁は現在、長周期地震動の予測情報の発表を検討しており、17日にも検討会が開かれた。あらためて、この長周期地震動についてまとめた。
規模が大きな地震ほど大きく、震源が浅いほど伝わりやすい
長周期地震動にみまわれると、高層ビルでは、くりかえされる揺れによって室内の家具や什器、キャスター付きの机などが転倒したり、エレベーターが故障することもある。特に、低い階層よりも高い階層で揺れが大きくなる傾向にある。 東京消防庁が東日本大震災の後で行った東京都内でのアンケートで、建物の階層別に家具類の転倒・落下・移動の発生状況を尋ねたところ、1~2階は16.8%の住居で発生したとの回答があったが、階が上がるごとに増え、11階以上では47.2%と半数近くとなった。 気象庁では、長周期地震動を揺れの大きさに応じて、次の4つの階級に分けている。 ・階級1 ブラインドなどの吊り下げたものが揺れる。室内にいるほとんどの人が揺れを感じる。 ・階級2 室内で大きな揺れを感じ、物につかまりたいと感じる。棚にある食器や書籍が落ちることがある。 ・階級3 立っていることが困難になり、キャスター付きの家具が大きく動いたり、固定していないものも移動し、不安定なものは倒れることがある。 ・階級4 立っていることができず、はわないと動けない。揺れに翻弄される。キャスター付きの家具が大きく動き、転倒することがある。固定していないほとんどの物が移動し、倒れるものがある。 揺れの強さは、短い周期の波に比べると減衰しにくいことから、遠くまで被害がおよぶことがある。東日本大震災の際、最大で階級4となった地域は、宮城県北部・南部、中部といった震源地の近くに加え、東京都23区や山梨県東部・富士五湖、静岡県東部といった東京以西の地域も含まれていた。