日本のシングルマザーの貧困 豪州出身の監督が見た「豊かな日本で取り残された人々」
――映画でも、日本のシングルマザーの就業率は85%と先進国でも高いのに、半数以上が貧困ライン以下で暮らしていると指摘されていました。離婚後の男性が子どもの養育費をあまり払わないことや、政府のサポートが少ないことが問題意識にあったのでしょうか。 それもあったし、なぜ離婚した女性が自分から(支援を求めて)動かないのかも疑問でした。 海外だと自分で動くしかないし、離婚したら相談できる場所が分かりやすく示されています。どの行政の窓口に行けば(児童扶養手当や助成金が)毎週いくらもらえるか、情報が全部公開されていて、透明です。ホームページも分かりやすいし、YouTube動画もたくさんあります。海外からの視点でいえば当たり前のことなのに、それを女性に言うと、「大丈夫、自分で頑張る」と言うんです。 日本ではいま、母子家庭の約4人に1人しか養育費をもらっていないんです。残り3人は自力で頑張っている。海外だったら、たぶん逆に4人中3人が養育費をもらっていると思うんですよ。 「日本人の男性は最低」と言いたいわけではないんです。離婚後に養育費を払いたくない、逃げたい男は世界中どこにでもいます。ただ、(養育費を支払わせる)制度があるから逃げられない。制度がどのくらいしっかりできているかで変わります。オーストラリアは一応、制度がありますが、まだ中途半端で逃げられる場合もある。スウェーデンなどではもう一切、逃げられないですね。 シングルマザーの話でよく耳にしたのは、日本では助けを求めて役所に行っても窓口の人の気分次第で対応が変わり、サポートの内容も自治体によってバラバラで分かりにくいということです。オーストラリアならどこへ行っても法律とルールは同じです。国の指導やシステムもしっかり作った方がいいし、シングルマザーたちも「もう(元夫に)関わりたくないからお金はいらない」ではなく、ちゃんと養育費をもらってほしいです。