酒井宏樹が語った浦和レッズ移籍理由「自分にプレッシャーや責任感、緊張感をもたらしてくれるクラブを探した」
契約を来年6月末まで残していたフランス・リーグアンの強豪オリンピック・マルセイユから、J1の浦和レッズへの完全移籍が先に決定および発表されていた日本代表DF酒井宏樹(31)が14日、オンライン形式で実施された入団会見に臨んだ。 真新しい浦和の赤いユニフォーム姿で登壇した酒井は、マルセイユを率いるホルヘ・サンパオリ監督から慰留され、周囲の大半からも反対された退団を決めた理由として、5シーズン所属したマルセイユへ抱く“愛”をあげた。 5位に終わった昨シーズンのリーグアンで、酒井は38試合中29試合に出場。そのうち先発は26回を数えたが、酒井自身は「右サイドバックとしての序列が、ただ単に一番手だったというだけで試合に出ていた」とふがいなさを募らせていた。 「僕がいなければチームがダメだったか、と言われるとクエスチョンがつきました。大事な外国人枠のひとつを使う状況への責任もすごく感じていたなかで、嫌われる前に大好きなマルセイユからそろそろ離れるべきなのでは、と考えるようになりました」 柏レイソルのアカデミー出身の酒井は、2012年夏に柏からドイツ・ブンデスリーガのハノーファー96へ移籍。2016年夏からは戦いの場をフランスに移したサッカー人生を、ヨーロッパの舞台で継続させる選択肢もあったと打ち明ける。 「調子に乗っているわけではないですけど、おそらくヨーロッパで探せば移籍先は出てきたと思うし、正直、まだヨーロッパでやれる自信もありました」 ならば、なぜ9年ぶりとなるJリーグへの復帰を決めたのか。柏で頭角を現した2011年4月からわずか1年あまりの間に、無我夢中のまま急成長し、ヨーロッパへ渡った酒井はいつしか「やれるうちに日本へ行きたい、という気持ちを単純に抱いていた」と振り返る。 「この段階で帰ってきて、9年間プレーしたヨーロッパで培ったものプラス、自分に何をもたらしてくれるのかがすごく楽しみです。そして、日本のなかでも自分にいい意味でのプレッシャーや責任感、緊張感をもたらしてくれるクラブを探していました」 いまも深い愛着を抱く柏とは常に連絡を取り合ってきた。しかし、150万ユーロ(約2億円)の移籍金が発生する今夏の復帰に関してはタイミングが合わなかった。そこで動いたのが酒井の意向を把握した浦和だった。今年2月にマルセイユへオファーを出し、3月からは酒井と交渉を続けてきたなかで今回の移籍が実現した。 柏レイソルU-18に昇格した2006シーズンに見た光景が、酒井の記憶に色濃く刻まれている。浦和が悲願の初優勝を決めた12月2日のガンバ大阪との最終節。ホームの埼玉スタジアムは6万2000人超の大観衆で真っ赤に染まっていた。ヨーロッパでも特に熱狂的な、マルセイユのファン・サポーターと共通するものがあった。 「浦和レッズには特別なファン・サポーターがいますし、その部分で僕に緊張感や責任感を与えてくれる存在だと思いましたので選ばせて……選ばせてと言うのは失礼ですね。(オファーを)お受けさせていただきました」