美しい言葉ばかりを並べている会社は要注意!? 元広告制作者が教える「採用広告」の見方
ブックライターとして数々のヒット書籍を手掛けている上阪 徹さん。新著『彼らが成功する前に大切にしていたこと――幸運を引き寄せる働き方』の中で上阪さんは、大企業の社長や実業家など3000人に話を聞く中で、いわゆる社会的に成功した人たちは、「偶然」を信じ、楽しむことで華麗なキャリアを築いた、ということを教えてくれます。 そしてもう一つ、本書で教えてくれるのは、元広告制作者だった上阪さんならではの、企業の「採用ツール」の見方。星の数ほどある採用情報の中から、本当に自分に合った企業を見つけるためのチェックポイントについて、今回は特別に本書からご紹介します。
挑戦、誠実さ、スピード…ターゲットが反応するフレーズを企業は発信する
リクルーティングページであれ、パンフレットであれ、広告ページであれ、採用広告の制作者が考えるのは、クライアントとの打ち合わせで定めたターゲットに確実にメッセージが届くこと。目に留めてもらえること。興味を持ってもらい、応募につなげることです。 最もわかりやすい手法は、求める人材を象徴するようなキーワードやフレーズを置いたり、雰囲気を醸し出したりすることでしょうか。会社によってターゲットはさまざま、年によっても変わっていきます。 例えば、挑戦のような言葉を前面に押し出す会社もあるでしょう。あるいは、誠実さを打ち出す会社もあるかもしれない。スピード、効率、生産性、成長といったキーワードを掲げる会社もあれば、支える、守る、正確といったキーワードを掲げる会社もあります。近年なら、SDGsやダイバーシティ、インクルージョンといった言葉を打ち出す会社もあります。
使われる言葉やフレーズ、醸し出す雰囲気は「会社そのもの」
使われる言葉やフレーズ、醸し出す雰囲気は、求めている人材や目指そうとしている会社の姿そのものだと言えます。 実際、変化が激しくイノベーティブな仕事が求められるインターネットビジネスと、正確にダイヤを刻む鉄道事業では、求められる仕事はまるで違います。成長著しい国際的な半導体ビジネスと、大きな変革期にあるドメスティックな銀行も違う。社員数十人のベンチャーと、数十万人を擁する巨大メーカーとも違う。 制作者は、その会社におけるどんな言葉が、ターゲットとなる人材に届くのかを考え、設計していきます。それが、エッジの立ったものになればなるほど、ターゲットにも届きやすくなる。しかも、会社の姿、会社が求めることをできるだけ正しい形で届けられるようになるのです。