苦節6年で初勝利…なぜドラフト9位“都立の星“鈴木優がオリックス連敗ストップのヒーローになれたのか
転機は中米プエルトリコにあった。 昨年オフに鈴木はT-岡田らと共にプエルトリコのウインターリーグに派遣された。そこでカルチャーショックを受けた。 「僕の中で大きなことだった。考え方が変わりました。去年までなら(緊急登板の)ロッテ戦や今日もガチガチに緊張していたと思う」 26日のロッテ戦で開幕投手の山岡が脇腹に異常を訴えてわずか3球で降板。そこで鈴木に緊急登板の出番が回ってきた。3回を投げて2失点したが、動じず立ち向かった内容が評価され、プロ2度目の先発チャンスにつながった。 「プエルトリコでは、みんなが勝っても負けても野球を楽しむ姿勢があります。6年目で勝負の年であることもわかっています。どうせやるなら楽しんで後悔しないように」 背水のシーズンに巡ってきたチャンスにも「楽しむ」気持ちで挑めた。それが山賊打線を「迷路」に追い込む大胆な幻惑の配球にもつながった。 「(プエルトリコでの経験が)生きています。配球面でも柔軟な考え。日本と違っていました。あっちは、配球で苦しまず、プラス思考で考えるので小さくならないんです」 鈴木は最高の笑顔でこう言った。 「今日は、ワクワクして、楽しかった。そこが今年いい調子を維持しているところ。みんなで楽しく野球をやったイメージですかね」 その手にはウイニングボール。 「誰に? 両親ですね。でもあげたい人がいっぱい。感謝の気持ちを伝えたいです」 予告先発が発表され、多くの知人から応援メッセージが届き「それが力になった」という。 「指が攣ったのでしっかりとケアし、次は長いイニングを投げられるようにしたいです」 順調にいけば、真価を問われる次回登板は8日の日ハム戦(京セラドーム)の予定だ。