多様な事業へのコミットからみえてきたものとは。 DeNA ・今西陽介氏が語る仕事のスタンス
やりたいことがない人もカッコよくなれる
DD:いろいろな事業を経験していれば、興味が持てない事業もあったのではないでしょうか? それこそ、ギャル系ファッションの通販事業のように完全に未知な領域も。そういったときは、どのような考えを持って仕事をされていましたか? 今西:私の場合は、好きではないことのなかでも、楽しいことがないかを発見する力がとても強いタイプだと思うんです。「楽しみ力」「面白がる力」とでも言いましょうか。自分にとって心が踊らない環境でも、そのなかで面白いことは何かを探索するのが好きなんです。効率を上げながら、効率以外の面白みを探すのがポイントだと思っています。そうしたときにどう楽しめるのかが、チームビルディングのなかでもとても大事です。リーダー自身が楽しめない仕事は、メンバーが絶対楽しめませんから。 DD:今西さんは「自分自身がやりたいこと」というのがあるのでしょうか? 今西:本音を言うと、自分がやりたいことがあまりないタイプです。「やりたいことがない=中身がない」ということではなく……人から何かを求められることに喜びを感じる派ですね。ニーズがあるところにちゃんと寄り添って事業を進めていくことのほうが向いていると感じます。 世の中には夢があってやりたいことが明確にある人と、やりたいことがとくにない人がいます。夢や明確にやりたいことがある人ばかりがフューチャーされてカッコいいイメージがありますが、いますぐにやりたいことがなくとも、ちゃんと仕事をして経験を積み上げている人もカッコいいと思うんです。さまざまな経験を積み上げた先に、やりたいことができればそれは幸せだと思いますし、何歳になっても自分次第でチャレンジは可能ですからね。 若手を対象としたセミナーなどで公演するとよく、「夢がなく、自分はそれでよいのだろうか?」という質問をいただきます。とても不安な顔をして相談に来られますが、「大丈夫だ」とアドバイスしています。やりたいことがなくたって、ちゃんとキャリアを積み上げられる。私自身がその良い例と見えるように、これからも仕事していくつもりです。 Written by 島田涼平 Photo by 三浦晃一
島田涼平
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