多様な事業へのコミットからみえてきたものとは。 DeNA ・今西陽介氏が語る仕事のスタンス
アプリとOSに例える
DD:部下に対して、「こんな人材になってほしい」といった想いはありますか? 今西:私はよく、マーケティングに必要な人間の能力をアプリとOSで例えています。アプリはSNSマーケティングやSEOなどのマーケティング手法の技術であり、OSはリーダーシップや思考力、関係性構築力などのマーケティングに限らず必要な能力のことです。デジタル領域の人は、どうしても自分のなかのアプリを磨こうとしがちなんですが、それらを完全にAIが担う時代がやってくる。 だからこそ、OSのほうを磨くことが重要です。思考力がある人物がコンテンツマーケティングの担当者になるとどうなるか。関係性構築力がある人物がSNSマーケティングの担当者になるとどうなるか。つまり、どういったOSを持っているのかが、より重要になってきます。 今西氏が提言する人間の能力をアプリとOSで例えた図 DD:なるほど。それで言うと、今西さんはアプリという多くのスキルを持ちつつ、さまざまなシーンでOSを磨いてきたのではないでしょうか。そもそもなぜ、いろいろな事業に挑戦を? 今西:僕は2004年にDeNAに入社しているんですが、2~3年おき程度で部署異動していたり、役割を変えたりしています。自分の性格が飽きっぽいというのもあるんですが、一番の理由としては、部署歴が長ければ「裸の王様」になってしまうのではないかという危機感があることです。もし、長年所属した部署で私が何かの提案をすると、メンバーが熟考せずに「さすがです。今西さんが言うならそれをやりましょう」と即答するような環境になれば、それは終わりだと思っています(DeNAではあまり少ないですが、世間ではよくあるケースではないでしょうか)。 つまりこれは、僕が忖度されているという状況ですが、メンバー自体も思考停止してしまっているんです。会社にとってはよくないことです。だからこそ、役職などにはこだわらず、社内転職を繰り返してきました。
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