「IT革命」からすでに四半世紀も経っているのに「パソコンは苦手」と言い続ける人に欠けているモノ
「エクセルなんていまだに触ったことがない」「AIなんて使っていると頭が悪くなる」。どこの職場にも1人くらいは、こういう人がいるものですが、「IT革命」からすでに四半世紀が経っている現在、もはやそうしたスタンスは通用しない、と指摘する明治大学教授の齋藤孝氏。 齋藤氏によれば、ITへの対応をかたくなに拒絶することは、社会性の欠如の表れととられることすらあるといいます。 ※本稿は、齋藤氏の著書『40代から人生が好転する人、40代から人生が暗転する人』から、一部を抜粋・編集してお届けします。 【グラフで見る】全世代でもっとも多く、40代の4割がDXに消極的
■「高齢だからICTは苦手」は通用しない時代に ICTリテラシーの重要性が時代を重ねるごとに高まっています。一般に「高齢者はネットが苦手」などと言われますが、これからの40代はそういう弁明が一切通用しない老後を生きていくことになります。 すでにデジタル技術は日常生活のあらゆるところに組み込まれていますし、実際にどの世代もその恩恵を受けて暮らしています。 手にとって利用するデバイスもどんどん進化して直感的に使えるようになっており、今は小学校でも全生徒にタブレット端末が支給され、7歳や8歳の児童が使いこなしています。
ICTの技術はもはやインフラとして当たり前のものであり、世の中で普通に暮らすためには、基本的なICTスキルの習得は不可欠です。「苦手」「わからない」で済むことでは無いのです。 先日、あるテレビ番組で高齢者の自動車免許の返納について特集が組まれ、75歳くらいの高齢の父を説得する奥さんや娘さんたちの葛藤が実例として紹介されていました。 どんなに免許を返納するよう迫っても、70代男性は「免許が無かったら買い物にも行けないじゃないか!」と聞き入れません。「買い物はネットでできるでしょう」と言う娘に対し、「ネットなんてわからん! 無理強いするな」と言うわけです。
しかし、考えてみればわかることですが、誰でも使えるOSの「ウインドウズ95」が秋葉原で販売されてから、かれこれ30年近くが経過します。75歳の方であれば45歳前後のときにウインドウズが日本に上陸していたことになります。 ■「IT革命」からすでに四半世紀が経っている 45歳といえば社会人として一番脂が乗っていた時期といえます。なぜそのとき、男性はウインドウズに触れることをスルーし(もちろんマックでもいいですが)、しかもそれ以降も含めてこの30年間、パソコンを覚えようとしなかったのでしょうか。機会はいくらでもあったはずなのです。