「IT革命」からすでに四半世紀も経っているのに「パソコンは苦手」と言い続ける人に欠けているモノ
■日本の「DX遅れ」は本当に40代が原因か 高齢者のICTリテラシーについて触れてきたわけですが、では働き盛りの40代はどうでしょうか。 実はいま手元に、2022年1月18日に配信された日本経済新聞の「DX遅れは中堅社員のせい? 40代『関わりたくない』4割」と題する記事があります。DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは、デジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革することです。これが進んでいる国とそうでない国では、自ずと技術革新や人々の生活の豊かさにおいて差が開いていくということになります。
問題は、先進国であるはずの日本の大手企業のDXが海外と比べて大きく遅れており、そのボトルネックとなっているのが、実は40代の中堅社員である可能性が高いということなのです。 記事によると、社員1000人以上の企業に勤める40代の社員の38%が「DXやデジタルビジネスに関わりたくない」と答えています。刮目すべきは、この割合が20代~30代はおろか、50代~60代をも上回り、全世代でもっとも多かったというところです。
※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください 記事では、「(DXを)やりたくないことと、リスクを取りたくない気持ちが重なっている」との関係者による分析を紹介しながら、「日本の中堅社員のDXに対する後ろ向きな意見は世界でも突出している」と危機的に報じています。 また、記事では別の調査結果も伝えています。「自社がデジタル化に十分対応できている」と答えた中間管理職の割合を国別で算出し、もっとも多かった国がアメリカで75%、次いでドイツ61%、イギリス58%、フランス56%となる中で、日本はわずか37%にとどまったといいます。
これらを総合すると、デジタル化に対応できていないことはわかっている、でも関わりたくない─そう考えているのが日本の40代の働き手であり、中間管理職であるということになるのです。 もっとも、トップダウン式の欧米企業と比較し、ボトムアップで下からの声も重視する日本の企業は、合意形成に時間がかかるという構造的な問題も抱えています。記事では「経験豊かな中堅社員は仕事のやり方を変えるのが簡単ではないことを熟知しているからこそ、後ろ向きな声が多い」とも分析しており、「日本の中間管理職にポテンシャルがないわけではない」ともしっかり伝えています。