「業績予想の修正」開示されたら要注意! 最も株価への影響が出る適時開示
株の売買をしている場合、株価に影響する情報はいち早く入手したいものです。それならば報道機関もニュースソースとして利用している「適時開示情報閲覧サービス」を見るのが一番てっとり早い方法。東京証券取引所のホームページから無料でお手持ちのパソコンでいつでも閲覧できます。 適時開示の中でも最も株価に影響するのは「業績予想の修正」です。事業創造大学院大学・准教授の鈴木広樹さんが、実際に業績予想の修正と業績予想の修正が期待される、適時開示を発表した企業の株価の変動について解説します。
業績予想と株価
株価は、会社の今後についての投資家の考えを反映します。今後業績が良くなりそうだと投資家に判断された会社の株価は上がりますし、逆に今後業績が悪くなりそうだと投資家に判断された会社の株価は下がります。そのため、業績予想に関する情報は、株価に端的に影響を及ぼします。 上場会社は、一部の会社(証券会社など)を除き、決算短信に来期の業績予想(売上高と利益の予想値)を記載します。そして、その業績予想を修正する場合、それに関する適時開示を行うこととされています(売上高の予想値は10%以上、利益の予想値は30%以上、それぞれ修正する場合に実施)。 当然ですが、業績予想の上方修正(予想値を大きくする)は株価を上げ、反対に下方修正(予想値を小さくする)は株価を下げます。また、決算短信に記載された業績予想が株価に影響を及ぼすこともあります。当期の業績自体は目を引くものではなかったのに、来期の業績予想が良かったため、それに反応して株価が上がることがあるのです。 ただし、予想はあくまで予想であり、来期の業績を保証するものではありません。特にしばしば下方修正を行っている会社の業績予想は、少し割り引いて見た方がいいかもしれません。
株価が上がったケース
小野薬品工業が4月11日に「抗悪性腫瘍剤『オプジーボ点滴静注(R)20mg、100mg』の平成28年3月期売上実績および平成29年3月期売上予想について」を開示したところ、同日の同社株式の終値が5136円だったのに対し、翌12日は一時5880円まで値を上げました(安値も5301円)。この開示は、業績予想に関するものではなく、一つの製品の売上予想に関するものなのですが、業績の大幅な向上を期待させる内容だったのです。 同社のオプジーボは画期的な製品であり、平成28年3月期の売上が212億円だったのに対し、平成29年3月期の売上は1260億円にまで伸びるとされています。同社の平成27年3月期の売上高が1358億円ですから、オプジーボが予想どおり売れれば、同社の業績は大幅に向上するのです(オプジーボをめぐっては、とても高額なため、その負担をどうするのかという問題も生じてくるのですが、ここでは触れません)。 小野薬品工業の株価